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女性タレントの呼称 「クン」と「さん」のルーツ明らかに

2010.11.29 MON

男性向け写真週刊誌や夕刊紙には独特の「呼称」が存在する。それは女性タレントやグラビアアイドルのことを「クン」と呼ぶことである。用法としてはこんな感じだ。

「期間中、ラウンドガールや“巡回パトロール”を行うはづきクンは『遠いけど唐津は美味しいものがいっぱいだから来てね。洩れなく逮捕しちゃうゾ』。ちずみクンも『捕まりたくなかったら、場外や電話投票でネ』と、ミニでも寒さを感じさせないアツさ」(ZAKZAK  2010円11月10日)

「『土俵ガール!』で相撲部監督を熱演する佐々木希クン(22)、『美丘-君がいた日々-』で余命わずかな女子大生を公演する吉高由里子クン(22)、『日本人の知らない英語』で新米日本語教師を怪演する仲里依紗クン(20)」(『FLASH』2010年 9月10日号)

その一方で、「さん」も登場する。『FLASH』の場合、「ビビアン・スーさん」や「鈴木京香さん」「西田ひかるさん」「常盤貴子さん」といった人物に使われる。同誌記者によると「明確な用法の基準はない」とのことだが、実際に同誌に登場した女性の呼称をチェックしてみると「30歳が『クン』と『さん』の境目」「既婚か未婚も境目」になんとなくなっていることがわかった。ただし、グラビアアイドルの「ほしのあき」については30歳を過ぎても「クン」のままだった。

果たしてこの「クン」だが、一体誰が使い始めたのか? 近著『2択思考』が好評の、雑誌やカルチャーに詳しい著述家・分類王の石黒謙吾さんに聞いてみると、いきなりこう言われた。

「ちょっとー! それ、まさに僕たちがベーシックにしたものですよ。1988年あたりですね」

なんと、石黒さん自身がこの「クン」を多用し、定着させた張本人だったのだ。石黒さんが、若者向けカルチャー誌『ホットドッグプレス』(講談社・以下HDP)の編集者になったころ、「クン」はすでに、ちらほらといくつかの雑誌には載っていた。しかし、「さん」「クン」の違いは、個々のライターや編集者任せで、雑誌や記事によってまちまちだった。

大学生向けの同誌で「女のコ特集」担当となった石黒さんは、一緒に特集を担当していた清水文徳氏と2人で、女子大生、コンパニオン、OLなどを多数登場させた。そして、彼女たちの呼称を「クン」に統一する。

「最初に『クン』を使い出したわけではないけど、明確な雑誌の方針として、登場する女の子の呼称を『クン』に統一したのは間違いなく僕たち。僕自身が、同じ講談社の社会人向け総合エンタテインメント誌『PENTHOUSE』から『HDP』に移ったころはかなり違和感あって、『なんかクンってヘンだよね』って思ったけど、いつしか『クンの方がいいじゃん!』となり、その後、ほかの雑誌も『クン』を使うようになっていったんですよ」

なぜ、「クン」を石黒さんは導入したのか?

「僕らが担当していたHDPの『女のコ特集』は、セクシー路線もエグくはしないで、テーマにも自然体の恋愛を打ち出した。登場する女の子もごくフツーのフレッシュな子。すると、『ちゃん』でも『さん』でもなく、『クン』の方がハマった。『ちゃん』では高校生みたいでガキっぽくて、『さん』ではベテランOLみたいでババくさい。そうしたら、女子大生は『クン』しかないじゃないかと」

実際、石黒さんがHDP以前に在籍していた『PENTHOUSE』には「OLヌード」など大人向けのエロスを追求する記事があったが、ここに登場する素人のOLは「さん」と表記していたのである。女子大生ブームだった80年代後半、石黒さんは「ちゃん」と「さん」の間の世代である女子大生をどう呼ぶかを考えた。

そこで出てきたのが「クン」だったのだが、なぜ、「くん」「君」ではなくカタカナの「クン」なのか。石黒さんは「漢字だと学校の先生が呼びかける感じで勉強っぽいし、ひらがなで書くと間抜けだし男の子みたい。女の子っぽいのは『クン』だと思ったんだ。親近感わくでしょ?」という。

ルーツはよくわかった。だったら「クン」と呼ばれる人と「さん」と呼ばれる人の違いは一体何なのか? ほしのあきは「クン」なのに、本上まなみは「さん」であることについて聞くと石黒さんはこう言った。

「ほしのあきは『クン』でいい。雰囲気合うなぁ! 年齢は気にしないですよ。同じ若さの子でも分別臭い人、所帯臭い人は『クン』と呼びたくない。黒木メイサなんてまだ22歳だけど『クン』じゃない感じでしょ? 『さん』と呼びたくなる。あと、年を取っても戸田恵梨香は絶対に『クン』だと思う」

石黒さんによると、この「クン」と「さん」の境目は「肌感覚」によるものらしく明確には定義づけできないが、自分の中には明確な「2択思考的な線引き」でどちらかに分けられるというので、一例を挙げてもらった。

「クン」と呼び続けたいのは「親近感があってアウトドアのデートをしたい」人で、広末涼子、坂井真紀、上戸彩、相武紗季ら。逆に「高嶺の花かつフレンチのクリスマスディナーを一緒に食べるような女性」は「さん」で、藤原紀香、小雪、米倉涼子がそれに相当するのだという。

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