香港移住計画

第13回 香港で心機一転するのにピッタリな職業って?

2010.12.09 THU

香港移住計画


受け取った竹をテキパキと組み立てていく竹棚工さん。ここでは背中にひもをつけていますが、命綱なしの場合もあるんだとか

竹を使って地上40階以上まで!? 竹棚工っていったい何者?



お国柄とは、意外な場所に表れるもの。たとえば、建築現場に組み立てられた足場。日本では鉄パイプが当たり前ですが、香港ではそのほとんどが、なんと竹で作られているのだというのです。それがたとえ、40階以上の高層ビルであっても!

それを手掛けるのは「竹棚工」なる職人たち。街のあちこちで見られる竹の足場は、香港名物とも呼ばれています。でも、素人からすると竹より鉄の方が丈夫だったりするんじゃ? なんて疑問も…。

「いえいえ、香港の高温多湿な気候下では、竹が湿気を帯びることで締まり、より丈夫になるんです。逆に鉄は湿気が多いと錆びやすくなってしまいます」(竹棚工のチュー・チー・ウァイさん)

竹を使う理由は気候にアリ、とな! ほかにも何か理由はあるんですか?

「一番は、コストの安さ。竹は中国から輸入したもっとも硬い品種を使いますが、鉄の約1/3の値段で手に入ります。また、軽くて運びやすいため、短時間で組み立てや解体ができます。私の会社では基本的に3人一組で作業を行い、4~5階までの足場であれば2時間程度で終了するんですよ」
道路にせり出した看板を修理する際も、竹の足場が組まれる。こうした看板は電飾が多いため、電気を通さない竹が重宝される要因の一つでもある
そこで実際に、チューさんたちが竹の足場を作る様子を見せていただくことにしました。長さ3メートルほどの細長い竹を結び付けるのは、プラスチック製の特殊なヒモ。建物を網の目状でおおうように、次々と竹が組み上がっていきます。

身長の倍以上ある場所を左右に動きまわる職人たちの姿は、まるで曲芸師! しかしあの高さ、見てるだけでも怖い…。チューさんは、最高で何階建ての建物を手掛けたんですか?

「地上から組み上げたことがあるのは、37階ですね。部分的な足場であれば、60階が最高です」

部分的な足場というのは、壁からせり出すように組まれた足場のこと。高層ビルの一室にあるエアコンの室外機を修理したり、窓ガラスの掃除や取り換えをする場合に作られるという。

ちなみに、ボクたちが竹棚工になることってできるんでしょうか?

「大丈夫ですよ。まずは、政府公認の竹棚工のライセンスを獲得すること。専門学校に通えば、必要な知識を学んだり専門的な技術を身につけることができます。他に必要なのは、やる気とコミュニケーションをとろうとする意志だけです!」

なんと、竹棚工って政府公認の職業だったんですね! 何十年も前から続き、政府も重要視する竹棚作りは、香港の伝統文化といっても過言ではなかったりしてね。
梅井さんは2006年入社で、香港在住歴は約4年半。香港に来て驚いたのは、香港では暖房を入れる習慣がないこと。冬はモコモコに着こんで生活しているそうです

日本人が香港で働くメリットって?



グローバルなビジネスマンに、俺はなる! そんなことを友人に打ち明けたところ、「香港で働くってのはどう?」と勧められました。なんでも、香港に長期出張をしたときに、とても過ごしやすかったんだそうで…。

でも、出張と現地で働くのではかなり違いますよね。そこで、香港の航空会社キャセイパシフィック航空で働いている、梅井彩子さんと益田千次さんにお話を聞いてみました。

正直なところ、日本人が香港で仕事をするってどんな感じですか?

「とてもいい環境です!」(梅井さん)

そ、即答! いったいなぜですか?

「大きいのは、香港の人々がとても親日的なこと。打ち解けられなくてつらい…というような悩みはありませんね。時間帯が合うこともあり、プライベートでも仲がいいのは同僚たちです」(益田さん)

「また、香港はとても国際色豊かな土地。私はもともと国際的な感覚を磨きたいと思っていたのですが、様々な人種の人とかかわることのできる香港の会社はピッタリだったなと感じています」(梅井さん)

香港って、それほどの国際都市だったんですね。でも、日本を離れると慣れないことも多いのでは? たとえば日本食が恋しくなったりとか…。

「そのあたりのギャップも、実は少ないんですよ。日本への興味が強いこともあってか、日本で売っている食べ物や飲み物は、たいていスーパーやコンビニで手に入ります。納豆も売ってますよ(笑)」(梅井さん)
2001年入社で在住歴は約9年半の益田さん。香港で恋しくなるのはなんと、コンビニ弁当。日本に帰ると買い込んでしまうとか…(笑)
「生活面でいうなら、日本でいう『Suica』のような電子カード『オクトパスカード』は便利ですね。バス、地下鉄、自動販売機、コンビニ、スーパーなどのすべてで使えますし、チャージできる場所も多い。口座引き落としもできますし」(益田さん)

こういった生活のしやすさも、その土地で働く人間にとっては重要なポイント、とお二人は言います。

ただ、気になるのはやっぱり語学力。梅井さんはアメリカに1年留学経験があるし、益田さんは中高とインターナショナル・スクールに通っていたわけですよね。

「もちろん、語学ができるに越したことはないです。基本は英語で、プラスして広東語、北京語ができればベスト。ただ、そこで尻込みしてしまうなら、深く考えずに来てみて、話さざるを得ない状況を作ってしまうのも手だと思いますよ。なにしろ、日本人がなじみやすい土地ですから!」(益田さん)

「あとは、香港に住む多くの文化、多くの国籍の人々と触れ合おうとする意欲も大切ですよね」(梅井さん)

やる気があれば、なんでもできる、と! 香港という近場で「グローバルなビジネスマン」の夢が叶うなら、思い切って飛び込んじゃうのもアリなのかも!? 香港で働く人々の実態を調べてみた今回の取材。
取材をさせていただいた全員が「意欲が一番大事」と口にしていたのが印象的でした。

自分がどうしたいかという強い意志が重要視されるのは、
香港の人々はパワフルに生きているという事実の裏返しなのかもしれませんね。

この連載も、残すところあと1回!
最後まで、気合を入れて香港を大調査していきたいと思います!

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