都市部ではヒートアイランドに拍車が…

30年で風速15%減の国も! 世界中で風が弱まってる?

2010.12.16 THU


冷たい風が骨身にしみる季節。でも、少し前に「ネイチャー・ジオサイエンス(オンライン版)」で発表された研究によると、近年世界中で風が弱まっているらしいんです。主に北半球の気象観測所、約800カ所で観測した1979~08年までの風速データを分析。結果、約30年で年間平均風速が15%以上低下した国もあるとか。コレ、日本もそうなの?

「ええ。79~99年の20年間でアメダスの年間風速の変化を分析したところ、約5%低下したことがわかりました。主な原因は、観測所周辺に建物や樹木が増えたことでしょう。それらが障壁となり、風が弱まるのです」(気象庁気象研究所・藤部文昭さん)

ただし、その場合に風速が低下するのは周辺エリアだけ。…ってことは、日本全体で風が弱まっているわけじゃないんだ!

「そうですね。温暖化などの気候変動によって地球全体の風が弱まっているとしたら、上空の風速も低下しているはずなんです。しかし、少なくとも日本では上空の風が弱まっているというデータは見あたりません」

なるほど~。そもそも風が弱まると、どんなデメリットがあるのですか?

「ヒートアイランドに拍車をかける一因となる可能性があります。都市部では、密集したビル群やコンクリートの地面が熱をとどめています。風は熱のよどみを解消し、気温の上昇を緩和するのですが、風が弱まると熱が拡散されなくなってしまうのです」

だからといって、ビルを建てないわけにもいきませんよね…。戸田建設・建築設計統轄部長の阿部利裕さん、現場ではどんな対策をとっているのですか?

「超高層ビル建築の際は、建物とその周辺の模型を使い、風の通り方がどう変化するか実験で予測します。その結果から、建築前と変化がないようビルの形状を変えたり風穴を作るなどの工夫をしているんですよ」

ここ数年では、東京駅付近、汐留、お台場あたりがビルの建設ラッシュ地域。都内の景観とともに、風の流れも少しずつ変化しているんですね。
(井ノ口理代/ノオト)


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