アーティストが言ってるのを時々聞くけど…

海外レコーディングのメリットとは

2013.02.13 WED


こちらがアビー・ロード・スタジオ。ザ・ビートルズがレコーディングを行ったことでも有名だ。現在ではオンライン上で音源データをやり取りする“e-マスタリング”という手法もあり、国内から海外の有名スタジオにマスタリングを依頼できるようになっているそうだ
音楽番組などで、アーティストが「今回の曲は海外レコーディングで~」と語るのをしばしば耳にする。最近はレコーディングだけでなく、マスタリング(楽曲の編集など)も海外スタジオで行うことがあるそうな。でも音楽スタジオは日本にも山ほどあるはず。なぜわざわざ海外まで行く必要が? ぶっちゃけ見栄じゃないの!? ロンドンのアビー・ロード・スタジオでマスタリングを行った、アーティストの城間ユウ斗さんにその理由を聞いてみた。

「もちろん話題性もありますが、海外スタジオを使う本当の理由は大きく2つです。1つは環境面。録音・編集の技術や機材は日本と海外で大差ありませんが、スタジオの規模やスタッフの数は海外の方が上。また数が多いだけでなく、同じ予算でも海外の方がより高品質のスタジオやトップクラスのスタッフに巡り合いやすい。実際、アビー・ロード・スタジオでは世界的なレコーディング・エンジニアの人にマスタリングを担当してもらえましたし、その費用も日本で同レベルの人に依頼するよりずっと安く済みました。そのほか、『日本より電源の電圧が高いためアンプなどの音に深みが出る』『空気が乾燥しているので木材を使った楽器のコンディションが保ちやすい』ともいわれていますね」

つまり純粋な音作りのため、ということ。素人の耳には違いが分からなくても、プロならではの音へのこだわりがあるわけだ。

「もう1つは精神面の影響。憧れのミュージシャンが録音を行ったスタジオで、世界レベルのスタッフと一緒に仕事できるというのは、アーティストにとってはまさに夢そのもの。レコーディング時の気持ちの入り方が違いますし、すごく集中できますね。また個人的には、環境が変わることで考え方もクリエイティブになると思います」

このほか、海外へ行くついでにCDのジャケット写真やプロモーションビデオの撮影ができるというメリットもあるそうだ。やはり海外レコーディングにも理由があるんですね。

「ちなみに、近年は不況もあってスタジオの使用料金が世界的に値下がり傾向。インディーズの人間でも、各国の有名スタジオで作業できるようになっているんですよ」

ということは、その楽曲を聴くファンにとっても世界水準の音響環境が身近になっているのか。なにげなく聴いているあの歌も、ひょっとしたら海外でレコーディングされたものかも…なんて考えてみるとひと味違って聴こえるのでは?
(糸数康文/Office Ti+)

※この記事は2012年2月に取材・掲載した記事です

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