日本から世界に向けて映画を発信

アニメ製作会社MARZAがスゴイ

2014.06.25 WED


近未来的な雰囲気を感じるマーザ・アニメーションプラネットの受付。受付そばには200インチサイズのスクリーンを備えた試写室もある
記録的大ヒットとなった『アナと雪の女王』。手がけたのは世界的な映像製作会社ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオだ。現在、CGアニメーションといえば同社やピクサー・アニメーション・スタジオなどアメリカの独壇場となっているが、その市場に割って入ろうと目論む日本のアニメ製作会社がある。東京品川にスタジオを構える「MARZA ANIMATION PLANET(マーザ・アニメーションプラネット)」である。

もともとはゲーム内で使用するCGアニメーションを制作していた同社だったが、2013年公開の映画『キャプテンハーロック』ではCG制作を担当、フルCG長編アニメーション・スタジオとしての第一歩を踏み出した。さらに先日、人気ゲームシリーズ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の映画化も手がけることが決定した。

「もともとMARZAはオリジナルの長編アニメーション映画を作るために設立されました。我々の目的は、グローバル市場で通用するCGアニメを生み出し続けること。世界中の人々に、人生観が揺さぶられるようなパワーをもつ映画を届けたいと思っています」(マーザ・アニメーションプラネット代表取締役・前田雅尚氏)

同社では、その理念に賛同したトップレベルのCGアーティストを世界中から招集。同時に彼らを支える開発環境を整え、世界で闘うための基盤を少しずつ作り上げていった。そして今、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』という世界で愛されるキャラクターを携え、グローバル市場に打って出ようとしている。

「とはいえ、もちろん世界で勝負するのは簡単なことではありません。現在、CGアニメ映画作品における興行収入の歴代トップ30は、すべてアメリカのピクサーやドリームワークスが独占している状況です。日本に比べマーケットは圧倒的に大きいのですが、参入するハードルもすさまじく高い。そこに割って入るためには、アメリカ人をはじめとする英語圏の人々に受け入れられるストーリーが必要だと我々は考えています。そこで、MARZAではアメリカ・ロサンゼルスにストーリーの拠点を置き、日本側のデベロップメントチームと連携を取りながら、ハリウッド式の法則に則って物語を製作する体制をとっています」(前田氏)

巨大市場を意識したグローバルなストーリーテリング。そこに、日本ならではのクリエイティビティをプラスするのがMARZA流だ。映画『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』プロデューサーの伊藤武志氏と大西美枝氏は口をそろえてこう言う。

「日本のクリエイティブ作品のアート性は世界一だと思っています。日本のCGクリエイターはこれまで、ピクサーをはじめとする海外の技術を模倣することで腕を磨いてきました。でも、我々日本人が作ると、海外の人たちからはなぜか『すごく日本人っぽいね』と言われるんですよ。それは、日本人特有の職人的な細やかさみたいなものが画面に現れているからだと思います。これと同じことがストーリー開発にも当てはまります。ただ、現状ではそれがエンターテインメント作品として、世界に受け入れられているとは言いがたい。ですから、ストーリーの作り方をはじめ、ハリウッド式のテクニックを用いることで日本のクリエイティビティを世界に伝えていきたいと考えています」

『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』同様、現在、同社で進行中なのが完全オリジナル作品『Robodog』の製作だ。ストーリー、映像だけでなくキャラクターもすべて自社内で企画・製作する初のフル 3DCG 長編映画。長編アニメーション映画を作るという目標を実現した今、“オリジナルのキャラクターを使って世界中に感動を与える”という新たなフェーズに移行しようとしている。当然、現場で働くスタッフの士気も高い。

「単純に毎日が楽しいです。世界中のトップクリエイターと仕事ができるのも刺激的ですし、ここにはクオリティを追求するための開発環境も整っています。MARZAならでの“世界で勝負している感覚”は、イチ社員にとってもワクワクしますね」(テクニカルディレクターの荒川孝宏氏)

ちなみに「MARZA」とは、「MARS=火星」から連想される宇宙のイメージと、生み出すという意味合いの「MOTHER=母」を掛け合わせた造語。世界を飛び越え、宇宙へ。グローバルに打って出る同社の決意が表れている。

日本のCGアニメーションがアメリカの牙城を崩し、世界のトップに君臨する。近い将来、そんな日がやってくるかもしれない。
(榎並紀行/やじろべえ)

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