映画『インターステラー』は、直感で楽しむサイエンス映画だ!

新時代の“宇宙の旅”を目撃せよ!

2014.11.17 MON


映画『インターステラー』(11月22日〈土〉公開) 劇的な環境変化によって、地球の寿命が尽きようとしている。人類の存亡をかけ、居住可能な惑星を探すためのミッションに選ばれたのは、まだ幼い子供を持つ元パイロットだった…。『インセプション』『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督が、父娘の絆と人類の未来を、時空を超えるスケールで描いた話題の超大作
いよいよ11月22日からクリストファー・ノーラン監督の新作映画『インターステラー』が公開される。劇的な環境変化によって世界規模の食糧危機に陥り、人類が地球の滅亡をただ見守るしかなくなった近未来。宇宙に居住可能な星を見つけ出すという使命を背負った主人公・クーパーと、地球に残された娘・マーフを軸に描かれるのは、時代や状況を超えて誰もが共感できるヒューマンドラマだ。

そして、そのストーリーや映画自体のコンセプトに欠かせないのが、「科学」というキーワード。一足先に映画本編を鑑賞した生物学者・長沼 毅さんに、『インターステラー』の見どころを聞いた。

「まず私の印象に残ったのが、食糧危機に陥った地球では科学技術が否定されているという設定です。主人公のクーパーは元エンジニアであり元宇宙飛行士だったけれど、その知識や技術は役に立たなくなり、多くの人と同じように農業をやっている。世間では宇宙開発は忘れさられ、食べるものに困った人類にとって必要なのは農業であり、科学技術やイノベーションなんていらないんだ、という世界。極論とはいえ、今後こういう意見は実際に出てくるかもしれないと思いました」

「膨大なコストをかけて行う宇宙開発が、いったい何の役に立つのか?」みたいな問いは、いまも科学者に向けられている。要するに、この不景気な時代にそんなことやっている場合じゃないだろう、と。こういう風潮が進めば、この映画の設定もリアルになってくる。

「最近なぜかはっきり言わなくなった気がするんですけど、人類が宇宙開発をやるのは、いずれこの『インターステラー』のように宇宙へ進出せざるを得ないようなときが来るかもしれないからですよ。それがどういう危機かはわからなくても、いずれ危機が訪れると仮定して備える予見性は、これまで人類を絶滅から救ってきた特質です。目先の利益にならないからって人が宇宙を見なければ、いざ地球に危機が起こったときには手遅れになりますから」

『インターステラー』ではブラックホールや重力の研究で知られる理論物理学者キップ・ソーン氏を製作総指揮に迎え、脚本から映像表現まで、現代の宇宙物理学や天文学を踏まえた監修が行われたという。そのあたりのディテールは、長沼さんの目にはどう映ったのだろう?

「ブラックホールやワームホールの描き方は面白いし、理に適っていると思いました。折りたたんだ紙に丸い穴をあけて、これは二次元だから円だけど、三次元では球になると説明するシーンがありましたよね。それを映像で表現したら、確かにあんな感じだろうなと。それに、ブラックホールの引力で何十メートルもの満ち潮が起こる星や、極寒で雲まで凍っている星が出てきましたが、ああいう星も十分にありえます。よく考えたなぁと感心しましたね」

ネタバレになってしまうので詳細は伏せるが、ほかにも「時間」「次元」「重力」といった要素が絡み合い、それこそ次元がひとつ増えたかのように立体的なストーリーを構成している。本作のすごいところは、そういう複雑な現象がうまく話の展開に盛り込まれ、科学的な知識がなくても直感的に伝わる映像で表現されていることだ。

「なにより、科学や物理のようなSF要素に加えて“愛”というファクターが入っているのがよかった。女性の飛行士・アメリアが『愛だけが時空を超える』と熱弁をふるっていましたが、理屈としては破たんしているようでいて、映画全体を通底する強いメッセージになっています。細かい見どころはたくさんあるけれど、私は“愛と科学は人類を救うのか”という映画だと受け取りました」

宇宙、人類、愛…どれもスケールの大きいテーマだが、観始めると丁寧な心理描写とハラハラしっぱなしの展開に引き込まれ、あっという間に感じるはず。この壮大なドラマと映像美は、ぜひ大スクリーンで体験してほしい。

<取材協力先プロフィール>
長沼 毅(ながぬま・たけし)
1961年生まれ。広島大学大学院生物圏科学研究科准教授。生物海洋学、微生物生態学を専門とし、南極や砂漠、深海などで極地環境生物の探索調査を行う吟遊科学者。著書に『世界をやりなおしても生命は生まれるか?』(朝日出版)、『生命の星・エウロパ』(NHKブックス)、『生命の起源を宇宙に求めて』(化学同人)など

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト