男の嗜み見聞録

名脇役・近藤芳正が仕事着の衣装に無頓着な理由

2015.05.22 FRI


男の嗜み見聞録/名脇役・近藤芳正が仕事着の衣装に無頓着な理由
俳優・近藤芳正さんは実にオシャレである。今回の撮影のスタイリングも、もちろん全て私物。仕事着である“衣装”に関してもさぞうるさいのかと思いきや、「ほとんど無頓着」らしい。いったいなぜなのか? そこには第一線で活躍してきたプロらしい“こだわり”があった。

■演じるのは一流の腕を持つブ男。その衣装は…

一流の腕があるのに顔のせいで売れない中年サックス奏者が、“ブレイク”のために整形手術を受け、入院中に出会うセレブ(安田成美)との邂逅を描く。——注目の舞台、『夜想曲集』で近藤さんが演じるエピソードだ。近藤さんが語るのは、そこでの衣装の話。

「ブ男なんですよ。そこで顔が変われば、おまえの人生が変わると吹聴されて、無理矢理整形手術を受けさせられるんです。だから衣装は、だいたいがガウンを羽織った病院着の出で立ち。あ、最初くらいは、紺色の渋い感じのシャツを着てはいるんですけど」

本作は英国の作家、カズオ・イシグロの同名の短編集をベースにしている。

「もとが短編集なので、東出(昌大)くんのパートと安田さんのパートのリンクの方法を、いま一生懸命考えているところです。だから台本もめまぐるしく変わっています。もっとも、主に脚本家と演出家が考えるところですが」

原作では「共通した登場人物程度」だった薄い重なりを、ひとつの戯曲にする工夫を凝らすという。そのために頭を絞るのは、演出家の小川絵梨子さんと劇作家の長田育恵さん。ともに注目を集める気鋭の若手だ。

そして取材したこの日は稽古の中盤。近藤さんに加え、舞台初主演の東出昌大さんと、長いキャリアを持つ安田成美さんらが汗を流し、名門、天王洲銀河劇場で披露される本作は、いわば大作だ。だが残念ながら(?)近藤さんの顔は大部分が“包帯グルグル”らしい。

■衣装は、演技に支障が出なければこだわらない

「あまり表情は見えないんですよ。でも僕はあんまり計算して芝居するタイプじゃないんです。『顔が見えない分、身振り手振りを大きく』とか考えない。それより、心の動きを大事にしたい。自分が“美”だと思ってもお客さんが“美”だと思わないこともあるじゃないですか」

衣装に関してもほぼ同様。“こだわらない”のが信条だとか。

「たとえばガウンを着ているんだけど、携帯電話で芝居をするシーンが多いので、携帯がガウンのポケットから落ちないように工夫してほしい…くらいのお願いはしましたよ。でも基本は演出家任せです。プライベートでは、ファッション大好きなんですけどね」

■衣装を着ればスイッチが入る…わけじゃない

それは本作のみならず、ほかの作品でも同様らしい。衣装を着てスイッチが変わる…といったこともないらしい。

「こないだ毛むくじゃらの甲冑みたいなのを着た柴田勝家を演じたんです。さすがに仰々しいので、衣装をまとうことがスイッチになるかなと思ったんですが、ずっと着ているから慣れちゃって。むしろ撮影が進むと、普段の“近藤”に戻ったりするんですよ(笑)」

なぜか。

「セットや周囲とのバランスもあるでしょうから、全体の構成を見ている演出家とか監督とか、判断すべき人におまかせしています。主観的になる僕の意思はさほど重要ではありません。そういう職人でありたいというところから、僕のこだわりがあるんです」

記事提供 / 素晴らしきオトナたちへ。モテるオトナの悦びを。[editeur エディトゥール]

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト