映画『下衆の愛』公開!

個性派俳優・渋川清彦に聞く 愛すべきダメ男映画3選

2016.04.02 SAT

特選!あの人をつくった映画


『下衆の愛』の作中では「枕営業」がガンガン行われている! 現場では実際によくある話なのか? と聞いてみると…「実際にはあるかもしれないし、ないかもしれない。リアルとファンタジーが入っているから映画。独特の世界を楽しんでもらえれば」というシブいお答え…
忙しいビジネスパーソンのために、新作映画にまつわる著名人からオススメ映画を紹介してもらおうというこのコーナー、今回の新作映画は『下衆の愛』。インディーズ映画の底辺の世界に生きる、ゲスな人々の映画愛を退廃的に描いた崖っぷちムービーだ。

主役である、映画監督への夢を捨てきれないパラサイトニートのテツオを演じたのは、三池 崇や石井岳龍(『狂い咲きサンダーロード』など)ほか鬼才監督から愛される個性派俳優、渋川清彦さん。女にダラしないダメ男を好演した渋川さんに、「愛すべきダメ男映画」を3作品紹介してもらった。

●『続・男はつらいよ』(1969年)
監督:山田洋二 
出演:渥美 清、倍賞千恵子ほか

フーテンの寅さんこと車寅次郎が繰り広げる人情喜劇シリーズ。

「やっぱりダメ男映画といえば“寅さん”。特に寅さんが実の母親を訪ねていく2作目がいいですね。あと『汗水垂らして、油まみれで働いて』とさくらに言われて、寅さんが本当にその言葉どおりの仕事しか探さないくだりが笑える5作目(『男はつらいよ 望郷篇』)も好きだし、八千草薫さんがマドンナだった10作目(『男はつらいよ 寅次郎夢枕』)にも惹かれますね」(渋川さん、以下同)

●『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年)
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガンほか

何をやっても裏目に出てしまう貧乏歌手ルーウィンは、友人の家に居候している。ある日、友人の女性歌手を妊娠させたことが発覚し…。ボブ・ディランが憧れた伝説のフォーク歌手の回顧録をベースに、売れない歌手の冴えない1週間を追ったドラマ。

「ルーウィンは仕事や女性関係も上手くいかなくて、全般的にダメダメなんですね。そんな彼には歌しかないんだけど、その生き様が良かったし、八方ふさがりで道にたたずんでいる風情が印象的で、雰囲気のある映画です」

●『小原庄助さん』(1949年)
監督:清水 宏
出演:大河内傳次郎、風見章子ほか

先祖代々続く旧家の当主で朝寝・朝酒・朝湯が大好きな杉本左平太は、唄の中の人物になぞらえ、人々から“小原庄助さん”と呼ばれている。そんな佐平太が、請われるまま他人に金品を与え没落していく姿を描いたヒューマンコメディ。

「名門の家柄の主人公はお酒が大好きで、頼まれれば人のために借金までするような人物。それで家を潰して奥さんにも一度は逃げられちゃうんだけど、村人から『家柄がいいから村長選挙に出てくれ』と言われて、『家柄でなくて人柄がいい人に』と断るんです。そのくだりが大好き。観ていて気持ちのいい作品です」

古い映画作品が好きで、かなり観ているという渋川さんに、人生で影響を受けた映画について尋ねるとすぐに答えが返ってきた。

「フランシス・フォード・コッポラ監督の『アウトサイダー』ですね。マット・ディロンや若いころのトム・クルーズなど、イイ男が数人出てくるんですけど、ベタベタしていない男の友情が描かれていて理屈抜きにカッコイイんです。マット・ディロンが大好きで、すごく影響されました。彼が出演する『ランブルフィッシュ』や『ドラッグストア・カウボーイ』も好きですね」

取材もほぼ終わった頃に、渋川さんが何気ない口調でつぶやいた。

「さっきのダメ男映画の件ですけど、自分の出演作でなんですけど『お盆の弟』がすごくいいですよ。映画監督を演じたんですけど、話がとてもいいんです」

昨年公開された『お盆の弟』でも、四十路前に映画監督として再起を図るダメ男を演じた。こちらはユーモラスな雰囲気が漂うダメ男だ。今年ヨコハマ映画祭で4冠を獲得した秀作ながら、出演作ということであえて3選からはずしたであろう渋川さんの姿勢は、さりげなくてカッコイイ…。

『下衆の愛』では、渋川さんが自ら衣装を選んだ。ポスターにも登場するデニムに赤いブルゾンは、『理由なき反抗』のジェームス・ディーンと同じ格好だ。このほかにも随所に映画愛が散りばめられた、最低で最高のゲスムービーがいよいよ開演!
(足立美由紀)

  • 『下衆の愛』シーンカット 『下衆の愛』
    インディーズ映画の監督テツオは、実家に女を連れ込み、助監督が生活費を稼ぐため自作したハメ撮り動画の儲けをピンハネするゲス野郎。そんな出口の見えない自堕落な生活を送るテツオは、才能豊かな新人女優ミナミを起用した新作映画を企画して大勝負に出ようとするが…
    4月2日公開
    (C) third window films
  • 渋川清彦さん 渋川清彦(しぶかわ・きよひこ)
    モデル活動後、1998年豊田利晃監督作『ポルノスター』で映画デビュー。近年は『横道世之介』(2013年)、『そして泥船はゆく』(2014年)などに出演するほかテレビ、舞台で活躍。2015年には主演映画『お盆の弟』で第37回ヨコハマ映画祭 主演男優賞を獲得した。この4月には本作含め『蜜のあわれ』『テラフォーマーズ』と計3本の映画が公開されるほか、4月11日からはフジテレビドラマ『ラヴソング』がスタート。8月には主演舞台「アシバー~沖縄遊侠伝~」が控える

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