チームラボ代表「大人のいうことは信じなくていい」

猪子寿之「正しいことは時代や場所によって一変する」

2017.02.27 MON

フレッシャーズ 生活白書「R22」 > ロングインタビュー
猪子寿之
いのこ・としゆき
1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。47万人が訪れた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」などアート展を国内外で開催。個展「teamLab: Transcending Boundaries」がロンドンで開催中。「人と木々とクリスタル花火」が3月末から「第33回全国都市緑化よこはまフェア」にて開催予定
「展覧会はロンドンと台湾、シンガポールでやる! 7月に東京でも!」

「チームラボ」代表の猪子寿之さんは、どこまでもフランクだ。日本の伝統文化に寄り添いながら、最新のテクノロジーを用いた表現でアートを再構築。その活動は世界的な評価を得ている。そんな人に失敗を問うと、「いろいろあるよ!」。

「『下鴨神社 糺の森の光の祭 Art by teamLab』ではタヌキがケーブル食いちぎっちゃって、電源が落ちて。『徳島ライトシティアートナイト - チームラボ光る川と光る森』では、バッテリーを川に落として、真冬に潜水してバッテリーを引き上げるとか。全然面白くないし、毎日ヒヤヒヤするよね」

細々とトラブルはあっても、チームラボ全体の失敗はほぼないそう。

「全体ではアート制作、Web制作、ライブの演出やシステム開発とかクライアントワークをしていて。センシングとかプログラミング、建築やハード開発とか、専門家がチームで仕事をしているからね」

多くの会社組織がそうであるように、分業制なのだ。だがあくまで会社ではない。税制面で会社の体を取ってはいるが、東京大学の大学院生時代に仲間が集まった当時から、ずっと“チーム”なのだ。

「集団によって何か新しいものを作る実験の場として作ったのね。それができる場に身を置くことで、それができる人間に、集団的創造ができる人間になりたかった。自ら機会を作り、機会によって自らを作る…ってことかな(笑)」

言い換えれば、チームラボには猪子さんの自己実現の装置という側面があるということだ。

「チームラボのおかげで自分は存在しているし、楽しい。1人では何も作れないし、何もできない。今もそう思う」

これは多くの人が真似できる手法ではないが、ヒントは隠されている。身を置く場所ひとつで、人は変化できるということだ。

“枠組み”は刻々と変わる。大人のいうことは信じなくていい


「普通に県立高校で普通の個人主義的な教育だったし、創造性も持っていなかった。でもそれで活躍できる時代じゃないと思ったんだよね。どんな幼少期かは関係ないと思っていて。大学時代だってぜんぜんクリエイティブじゃなかったし、一流のエンジニアでもなかったもん」

だから誰だって、ここからでも「ぜんぜん大丈夫!」なのだ。

「変わろうと思えばね。今いる枠組みを取り払って、自分を変えることはできると思う。みんなが正しいと思っている多くのことは、単なるイチ地域のイチ流行で、それは時代と場所によって一瞬で変わること」

裏を返せば、そこに意識的でいられなければ、時代と流行から孤立することになる。新しいものは古くなる必然があるのだから。

「たとえばマンガなんて、世界の古典になりつつあるよね、すでに。特に最近の日本は、なんか田舎みたい。田舎で育ったけど、田舎ってすごく古い固定観念が強いでしょ。どんどんそうなりつつあるよ。だからこれから社会に出て行く人には、大人のいうことはあんまり信じずに、生命としての根源的なこと以外は変わるという前提でいたほうがいいよ。技術とかスキルは、その都度身につければいいんだからさ」

吉州正行=取材・文/林和也=撮影

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