亡き中内功氏を偲んで

『あぶさん』で読むカリスマ経営者・中内 功

2005.10.20 THU

戦後の流通界に革命を起こしたスーパー「ダイエー」の創業者・中内功氏が逝去して1カ月余。この間、各メディアでは中内氏の偉業と波乱の人生を振り返る企画が数多く見られた。その手腕については賛否両論あるが、ここではちょっと違う角度で中内氏を振り返りたい。キーワードは「野球とマンガ」だ。

中内氏は1989年に南海ホークスを買収。本拠地を大阪から福岡に移し、福岡ダイエーホークスのオーナーとなった。その功績は、ここ数年におけるホークスの隆盛を見れば言うまでもない。そんなチームをこよなく愛していた中内氏の一面をのぞけるのがお馴染み、水島新司先生が描く野球マンガ『あぶさん』である。『あぶさん』の主人公・景浦安武はホークスの選手という設定。そのため、作中には実在する選手と同じように、中内氏もたびたび登場。そのたびに名場面、名セリフを残している。

たとえば初登場となった「きみの翼だ。」(単行本第42巻)では、当時では珍しかったスタジアムDJスタイルのスタメン発表に賛同。消極的な側近に「日本人はもっと豊かな表現力を身につけにゃ、世界に出たら損をする」と最初からエンジン全開。また中内氏の有名なフレーズ「ネアカ・のびのび・へこたれず」が飛び出す「AとBの間で」(第67巻)では、こっそり一般のファンに混じり福岡ドームのライトスタンドでAクラスを目指すチームを応援。そして忘れられないのがソフトバンクに球団売却後、景浦に別れを告げにきた「別れの祝杯」(第83巻)。これはそのまま“ダイエー”ホークスの16年間を振り返る内容になっており、ファンなら感涙ものだ。

マンガで描かれているようなエピソードや人柄が、どこまで本当かは水島先生と中内氏のみが知るところだが、ホークスを年間300万人を動員する人気球団に育て上げた功績と球団への愛に疑いはない。中内氏にまつわるビジネス書もいいが、たまには『あぶさん』で人間・中内功にふれてみるのもオツなもんですよ。

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