号泣必至のヒューマンドラマ

マンガ『イキガミ』を読んで死んだつもりで生きてみろ!

2006.06.08 THU

「逝紙(イキガミ)」を配達された者は24時間以内に死ぬ…。「死」への恐怖感を植えつけることによって「生命の価値」を再認識させる、との目的で「国家繁栄維持法」により1000人に1人の割合で若者が死亡宣告をされてしまう社会。『週刊ヤングサンデー』で不定期連載中の作品『イキガミ』は、逝紙配達人・藤本をストーリーテラーに、「逝紙」を手渡されたものが残りの時間をどう生きるのかを追っていく物語だ。

国家が、国民を恐怖によって管理統制する社会を描いた作品は少なくないが、その多くはシニカルな演出であったり、ショックを強調したものであったりする。『イキガミ』は、人間ドラマに力点をおいており、近年、これほど「泣ける」マンガは珍しいと、ジワジワと人気を集めているようだ。

ずっとイジメにあってきた人間、売れるために相棒を捨てたミュージシャン、ドラッグ中毒の彼氏を支えている彼女など、物語は「逝紙」を手渡され、その人間が死ぬまでを3エピソード、1話完結方式で進行する。そのため、ドラマ化もしやすそうだ。極限状況下での物語なので、展開はかなりヘビーだが、読後感はそれほど悪くない。

「人気は大変ありますよ。とくにクリエイターや業界筋での評価が高いようです。やはり『泣けた』という意見がとても多いですね」(連載担当編集者)

「死んだつもりで生きてみろ。」とは、『イキガミ』1巻に使われていたコピーだ。この作品に描かれるような社会は、ゴメンこうむりたいが、仕事やプライベートの瑣末なトラブルに振り回されている自分を思うと、『イキガミ』は、確かに生きていることの素晴らしさを再認識させてくれる。

逝紙配達人・藤本は、葛藤を感じながらも、淡々と「逝紙」を配達していく。「これでいいのか」という疑問は恐怖によって打ち消される。これは、これで怖い。権威があるものにも「おかしなことは、おかしいというべき」という大切なことも教えてくれる本作。オススメです。

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