人間が心のままに生きる権利を問う

『トランスアメリカ』を観て古い道徳観をぶっとばせ!

2006.07.27 THU

“同性愛”をテーマにした映画が賞を獲得するなど、最近“セクシャル・マイノリティ”を描いた作品が増えた気がしません?

「アメリカでは〈ゲイ〉や自分の性に違和感を抱く〈トランスジェンダー(以下TG)〉を肯定的に扱ったメジャー作品が増えている」とは、NY在住ジャーナリストの北丸雄二さん。でもそれは、否定的な現実があることの裏返しなんだそう。

「ただ、偏見に屈せずにカムアウトする人もますます増えていて、大都市部では性志向の差異など関係ないという世代も多くなりました。大企業も、新たに出現した、生活意識の高いゲイ市場をターゲットとした商品プロモートを拡大中です」(同氏)

日本も変わりつつあるのを実感するのは、世田谷区議員の上川あやさんの存在。

「かつて男性として日常を送っていた過去を公表し、03年に選挙戦を戦いました。立候補の表明から当選までの2ヵ月間で、街の空気は嘲笑から声援へと変わりました」

最近、アメリカで高い評価を受けた映画がある。主人公が性同一性障害のこの『トランスアメリカ』は、男性から女性への性適合手術を受ける直前に息子がいることが発覚した主人公が、父親であることを隠したまま息子とアメリカ大陸横断の旅に出るというちょっと異色のロードムービー。

麻薬中毒だった息子はこの旅によって愛を知り、愛を忘れていた主人公は偏見の塊だった家族に立ち向かう勇気を得る。この成長ドラマで描かれたのは、単なる“TGの父親のカミングアウト”の話ではなく、

“心のままに生きる”ことの難しさ。

この主人公の場合はTGへの偏見というさらに困難な既成概念との闘いだったのだけれど、自分の夢と現実とのギャップに悩んだことのある人だったら共感できる部分はきっとあるはず。

とはいえ、性を移りゆく当事者ならではの生活のノウハウがコミカルに描かれていて笑えるシーンも随所にあるので、構えずに気軽に楽しむべし!

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