原作を読んだことあります?

『攻殻機動隊』がハリウッド映画に!? 士郎正宗作品が映像化されるワケ

2008.05.23 FRI


映像化作品の数の割には、それほど多くない士郎正宗氏の原作本。けっこうエッチで細かいギャグ満載なのは意外でした
この春、スピルバーグ率いるドリームワークスが、士郎正宗原作の『攻殻機動隊』の映画化権を獲得した、との報道が流れました。それを受け、ネット上では早くもファンによる実写キャスティング案が激しく交わされております。

これに限らず士郎正宗作品は、04年に『イノセンス』『APPLESEED』、07年『EX MACHINA』といった劇場作品をはじめ、その間にも『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズがテレビ放送されるなど、毎年のように何かしら映像化されています。

失礼ですけども、世間一般には決して超メジャーとは言えない作家さんなのに、この人気ぶりはなぜ? 果たして原作の魅力とは?

「とにかく、必要以上に緻密に設定された世界観が理由でしょうね。SF作家が物語を作るには、大別して『物語を考えてから、それに合う世界を構築する方法』と、『世界を構築してから物語を作る方法』との2種類あると思いますが、士郎正宗は典型的な後者です」(『別冊宝島 僕たちの好きな攻殻機動隊』シリーズ編集者の宝島社・薗部真一さん)

実際に『攻殻機動隊』の原作を読んでみると、文字多めのセリフに加え、欄外は脚注だらけ。その脚注では専門用語や設定の解説のみならず、作者による未来テクノロジーへの随想までもが盛り込まれており、マンガなのに書籍を読む気で臨まないとストーリーすら追えません。

なぜ、こんな難解な原作が毎年のように映像化されるのでしょう?

「原作の設定が丁寧なので、映像化する際、画面には映らない作品世界の広がりが表現しやすいからだと思います。押井守監督の『GHOST IN THE SHELL』に出てくる看板や通行人はもちろん、神山健治監督の『攻殻機動隊S.A.C. 2ndGIG』の6話に登場する荒廃した東京のように、原作を読んだ人にしかわからないシーンや小道具は、コアな視聴者にとって嬉しいものだし、作品を作る側にとっても楽しいんだと思います」

なるほど。ただ、受け手側に予備知識を求めるってことは、ハードルが高すぎて興行収入的には厳しそうな気も。

「まあ、単純に士郎さんの名前を使って映像化すると、本格SFぽくてウケがいいというのもあるでしょうね(笑)」

確かに、SFの王道『スターウォーズ』の場合も、物語の流れやキャラを知らなくても、新作公開前からコアなファンが熱狂してお祭りムードになることで、一般客でも思わず観に行っちゃうケースもありそうです。士郎作品も、マニアには緻密な世界観が、ライト層にはSFファンが認めた本格派という凄みが、ウケているってことなんでしょうね。

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