なぜか見る人の心を打つ

アウトサイダー・アートの不思議な魅力とは?

2008.08.22 FRI


半世紀に渡り、誰にも見せることなく膨大な作品を創り続けた、アウト・サイダーアーティストの代表的存在ヘンリーダガー。彼の作品の一部と評伝は、「ヘンリー・ダーガー・非現実の王国で」(作品社刊)で、読むことができる。写真は同書表紙
ドラマ『裸の大将』のモデルとしても有名な山下清。彼は知的障害を持ちながらも、多くの素晴らしい貼り絵を描いたが、最近では彼のようなアーティストたちの作品が注目を集めている。それらは一般に「アウトサイダー・アート」と呼ばれているが、実際はどのようなものなのだろうか?

「もともとアウトサイダー・アートはフランス語で『アール・ブリュット』(生の芸術)と呼ばれていて、絵画の専門教育を受けていない人が描いた作品全般をさします。つまり、独学で描いているお父さんの絵も、アウトサイダー・アートの一つなのです。そのなかでも、知的障害や精神障害を持った人の作品群は、強烈な魅力を持っているものが多くあり、人々の目を引きます。その面白さは、既存の常識にとらわれず、枠からはみ出した、アウトサイダー・アート独自のものといえるでしょう。その結果、アウトサイダー・アート=障害者の芸術作品というイメージが定着しましたが、本当はもっと広範囲のものをさしています」

そう語るのは、『アウトサイダー・アートの世界』(紀伊國屋書店刊)の著者であり、数多くのアウトサイダー・アート作品を収蔵する『ボーダレス・アートミュージアムNO-MA』のアートディレクター・はたよしこさんだ。

「障害を持った人たちのなかには言葉がうまく使えない人も多くいらっしゃいます。そういう方たちにとって、作品制作は純粋な自己表現の場です。ひとつひとつの作品に込められた、せっぱつまるような情熱が、我々の心を揺さぶるのかもしれません」

欧米では、1970年代にはすでに注目を浴びていたアウトサイダー・アートだが、まだ日本ではマイナーなジャンル。だが、今年スイスのローザンヌで、12人の日本人による「アール・ブリュットJAPON展」が開催され、高い注目を集めた。海外では、日本人のアウトサイダー・アート作品はどんどん評価を高めているのだ。

「国内でも今年、汐留ミュージアムなどで『アール・ブリュット/交差する魂』展が開かれて関心が集まりました。ただし日本では純粋に芸術を楽しむより、障害者の作品を福祉的な意味合いで鑑賞される方が、残念ながら多いようです」

障害者が作った作品だから、なんて偏見を持たずに鑑賞した方が、純粋にアートを楽しめるってことですね。

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