出版30年を超えるロングセラー!

『ものぐさ精神分析』を800文字で、ものぐさに解説!

2008.12.01 MON


ものぐさを自認する精神分析学者が本を書いた。ものぐさだけに(?)雑文集であったが、1977年の出版以来ロングセラーとなり、40万部以上を発行して現在もなお売れ続けている。もしかしたら人生観すら変わってしまうかもしれない一冊。それが岸田 秀氏による著作『ものぐさ精神分析』なのだ。

本書の内容をものぐさに要約すると、以下の通り。「人間は本能が壊れた動物である。本能に頼っていては生き残れないので、本能の代わりに自我を作り、文化を作った。しかし、自我も文化も、いずれも幻想に過ぎない」。国家も家族も貨幣も性行為も恋愛も、あらゆるものが人間が作りだした幻想だというのだ。他人が同じものを信じている限りにおいて、かろうじて成立しているものに過ぎないという。う~む、わかる気もするが、にわかには納得したくないものもある。人間は、そんな不安定なものに頼って生きているというのだろうか?

しかし、よく考えながら読みすすめてみると、確かに筋が通っているのだ。人間以外の動物は、本能に従って生きるために適応した行動をとっている。そこに迷いはない。人間だけが、今どうするべきか悩み、先のことを考え、終わったことを後悔する。その反応は個人差も大きく、生存行動に直結しているとはいいがたい。これが正常だといいきれる行動様式など人間にはない。その意味で、国家も家族も貨幣も性行為も恋愛も、どのような形をとることだってありえるし、長くみれば一過性のものに過ぎない。つまり、すべては幻想というわけである。岸田氏は、この自身の理論を「唯幻論」と名づけている。

読んだ後、自分が信じていたものがグラングランして不安になったが、しばらくすると逆に気が楽になった。自分で自分を縛りつけていた無用の価値観から解放されたからだ。様々なストレスを抱えているビジネスマンにこそ、本書をオススメしたい。凝り固まった頭がほぐれるような気分が味わえるはずだ。


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト