秋葉原文化考

第10回 PCって自分で作れるモンなの?

2009.05.21 THU

秋葉原文化考


秋葉原のPCパーツショップで展示されていた、中身がわかりやすく見える(自作)PC。意外とスカスカ? 自分でケースを選べば、こんなスケルトンなPCだって作れちゃいます

パソコンって自分で作れちゃうの?



秋葉原を歩くと目にする多くのPCパーツショップ。

お店の中はいつも混んでいて、数多く揃えられた商品を手に取り、みんな真剣に選んでいます。その手に握られているものをチラリとのぞきこむと、「高性能ファン」だの、「大容量HDD」だの。

これらがいわゆる自作PCを作るための部品だということはなんとなく分かりますが、そもそもPCって自分で作れちゃうものなのでしょうか? なんだか難しそうですが。

「いえいえ、自作PCを組み立てるとき、工具はドライバー1本だけでいいんですよ」

と教えてくれたのは、秋葉原の老舗PCショップ・ツクモネットショップの戸苅義之さん。へっ? だって、PCは電子部品の塊でしょう? なんとなく、はんだ付けなどの複雑な工程があるのかと思っていたんですが。

「基本的には、空のPCケースにマザーボード(基盤)やCPU、メモリ、HDDや電源ユニットなどを取り付けるだけなんです。実作業は、部品を決められた場所にカチッとはめ込んだり、ケースのふたをネジでしめたりと、そんなに難しい作業ではないんです」
ずらりと並ぶPCケース。中身は入っておりません。透明で中身が透けて見えたり、カラフルな色だったりと、メーカー製のPCにはない奇抜なデザインのものもあります
なるほど。自作PCといっても、部品から作るわけではなく、組み立てていくんですね。その部品を売っている店が秋葉原にはたくさんあると。

でも、メーカー製のPCを買えば手間もかかりませんよね。手間をかけて、自分でPCを組み立てるメリットって何なのでしょうか?

「最近は既成のPCも安価なものが増えていますが、それでも最新のCPUを使ったり、ハイエンドなPCの場合は、自作の方が割安です。そして、自作PCの魅力は何より自分だけのPCを作れることにあります。自分の要求に合ったパーツを買い集め、組み立てて、動かす。作ってからも、動作が遅いなと感じたらメモリを増設したり、新しいCPUが発売されたら早速試してみたり、地デジが見たくなったらチューナーをつけたり。パーツを入れ替え、改造することで機能が向上する。車のカスタムや、ミニ四駆の改造にも似た楽しさだと思います。自分で作るとPCに愛着がわくんですよ」

確かに、自機の性能を自分で考えたり、カスタムしてパワーアップさせたりって、男子が好きな趣味って感じがしますね。一見難易度が高そうな自作PCですが、1台のPCを作るのに最低限必要なパーツの種類はCPUやHDDなど6個。一説には「ガンプラが作れる人ならPCも組み立てられる」という話もあるくらいなんですよ。
記事内で紹介した「セガサターンPC」と「ドリームキャストPC」。実際に動きます。「外側は昔遊んでいた本体のものを使っているんですよ。故障しちゃったんですけど、こうすれば手元に置いておけます」(ツクモパソコン本店/制作スタッフ)

自作PCの魅力とはキミは“ドリキャスPC”を見たか?



性能や見た目を自分好みに、自由に作れるのが自作PCの魅力。そんな自作PCのなかで、ある意味、その魅力を追求しきったPCがあることをあなたはご存じでしょうか?

それが今回紹介する「セガサターンPC」と「ドリームキャストPC」(画像参照)です。

「セガサターン」も「ドリームキャスト」もかつてSEGAから発売されていた家庭用ゲーム機で、もちろんPCではありません。しかし目の前にあるこの機体は確かにPCモニタにつなげられ、画像を見られたり音楽を聴けたり、USBを接続できたりと、PCとして動いています。えっ、なにこれすごい。

いったいこんなPC(?)をどうやって作ったんでしょうか? これらのゲーム機PCを制作し、店舗に展示していたツクモパソコン本店の制作スタッフさんに聞きました。

「まずはどのゲーム機で作るかを選びます。次に簡単に図面を描き、パーツの種類と位置を決めます。ゲーム機の中の基盤を取り外し、改めてmini ITXという小さな基盤を設置します。このとき、基盤がひっかかるようならゲーム機本体のプラスチックを削ります。そして必要なパーツをおさめ、はんだ付けも駆使して部品を接続。最後に本体のふたを閉め、ゲーム機を元通りの姿にすれば完成です」

ゲーム機PCを作っている海外のサイトを見て触発され、自分でも作り始めたという制作スタッフの方の話によると、これを作るにはノコギリ、はんだゴテ、ホットボンドなど、一般的な「工作」作業に必要な道具類が必要になるそう(普通の自作PCなら、ドライバー1本だけですむのに)。

さらに、コントローラもUSB接続できるように改造。コントローラに挿してある、一見ビジュアルメモリ(メモリーカード)に見えるものは、なんと無線LAN接続機。本体にCDを入れてふたを閉めれば、ゲーム機と同じように読み込む。

「ドリキャスPCはブルーレイを再生できるようにしてあるんですよ!」

ドリキャスなのにブルーレイ! すげえ。他にも記憶媒体がHDDではなく60GBのSSD(静音・低発熱・低消費電力などが特長の新しいタイプの記憶媒体)だったり、メモリを4GBも積んでいたりと、最新のPCにもヒケを取らない性能に仕上がっています。手間がかかってますねえ。

「手間もですが、お金もかかっています(笑)。これは制作時に失敗したりもして、総額15万円ほどかかりましたね」

な、なぜそんなにお金をかけてまで、こんなものを作ったんですか?

「面白いじゃないですか(笑)。自分でこんなPCを作ろう!と思って実際にやってみる、失敗する、考える、工夫する。自分で考えた必要なパーツを、秋葉原を歩いて揃えたりするのも楽しいですね」

一見するとイロモノPC。しかしその裏には制作者の創意工夫が隠されているんですね。 少しでも「PCを自作してみようかな?」と考えると、
今まで気にもしていなかった
PCパーツショップのにぎわいや、
予想以上に多くの会社から出ているPC用パーツ。

道端で投げ売りされている部品の数々までもが、
なんとなく自分に関係したものに見え、
秋葉原をより深く楽しめるようになりました。

もし今使っているPCに不満を感じたら
次のPCは自作することを考えてみるのも楽しいですよ!

さて、秋葉原の街をレポートしていくこちらの記事を読んで、
思ったことや感じたこと、
簡単な感想や疑問でもいいので、
どんどんお便りくださいね!

「俺のPCはこんな構成にしてあるぜー」とか、
「CPUを『i7』にしたら速すぎワラタ」とか、
自作PC自慢もお待ちしてまーす。

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さて、アキバ住人やそうでない方からも
ご好評をいただいておりましたこの連載も、
あと2回で最終回を迎えます。

そこで、次なる新テーマ
「テレビゲーム」に関するギモンや不思議もあわせて大募集します!

「あのキャラクターはどうやって生まれた?」、
「かつて遊んだあのゲームを手に入れるには?」
などなど、「テレビゲーム」にまつわるギモン・フシギ、
何かあったらお便りください!

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