万が一のためのファッション講座

第12回 極寒極熱の“極地”ファッションとは!?

2009.07.10 FRI

万が一のためのファッション講座


インディゴのターバンを巻くトゥアレグ族。顔をすっぽりと覆うように巻いています。男性が顔を隠す習慣があるのは、世界的にみても珍しい文化です。写真提供:サハラ・エリキ協会

暑さから身を守る砂漠のファッションとは?



炎天下、ラクダを引き連れて果てしない砂地を歩く。そんなイメージを思い起こさせる砂漠民。暑さの極地で彼らはどんな服装で過ごしているんだろう? サハラ砂漠の社会・経済活動を支援しているサハラ・エリキ協会のデコート豊崎アリサさんに聞きました。

「砂漠のファッションを学ぶには、砂漠に住んでいる民族の服がとても参考になります。サハラ砂漠でもっとも多く生活しているのはトゥアレグ族。彼らから学べる知恵としては、まず共通して巻いているターバンです。ターバンは砂漠の強い日差しから頭を守ってくれます。また彼らはターバンで顔まで隠し、砂ボコリを防いでいます。ちなみにターバンは幅30cmくらいで、長さ10~15mくらいあるんですよ」

確かに日差しから身を守るために、頭には何か被らないといけません。それ1枚で砂ボコリ防止にもなるというターバンは、すごく便利そうですね。

「トゥアレグ族には、インディゴ染めのターバンを親や祖父母から代々引き継ぐ風習があります。大切なときにしか巻かない大切なものです。インディゴは肌に潤いを与えてくれ、日焼け防止効果もあると、昔から伝えられてきたんでしょう」

日差しと砂ボコリを起こす風が、砂漠生活の最大の敵ですね。

「そうです、特に日差し。だから長袖もマストなんです。実は半袖を着ているより暑く感じない。トゥアレグ族は何枚も重ね着するんですが、乾燥していると、風通しのいい長袖をたくさん重ね着した方が涼しいからです。仮に気温が40℃だとすると、体温の方が低いですからね。肌を日陰の状態にした方がいいんです。それに、肌を出していると、すぐ日焼けしてしまいます。一度彼らがたくさん重ね着したまま日本に来たことがあるんですけど、汗でビショビショになって大変そうでした(笑)。砂漠は湿気がほとんどありませんから」

砂漠は暑いのでTシャツが最適かな、なんて思っていたので、長袖が涼しいなんて意外でした。

「それに、暖かい服も必要です。砂漠は昼と夜の気温差が大きく、冬だと、夜間はマイナス10℃になることもあります。昼間でも、日陰に入るだけで寒く感じるくらい。だから、寝るときはすごく寒い。その低温をしのげるしっかりとした寝袋も必要です」

ひたすら暑いだけと思っていた砂漠にも、実は夜になると氷点下の世界が広がることもあるなんて、まさに極地ですね。自然と対峙して生活している砂漠の民のファッション、もし砂漠に行くことがあれば、ぜひ参考に!
インナーのダウンも、しっかりと「パンツイン」して保温性を高めています。アシックス製の「D靴」は、かなり大きく見えるのがわかります。写真提供:国立極地研究所

寒さから身を守る南極のファッションとは?



地球上で一番寒いところといったら、やはり北極や南極をイメージする人が多いですよね? そんな極寒の地では、どんな服装で過ごしているのだろう。南極観測などの実施機関である国立極地研究所、通称極地研の永木 毅さんに聞きました。

「私たちが南極で着るものは、土木工事や観測のための作業着ですが、だいたい4枚くらい重ね着します。吸湿速乾性のあるアンダーウェアを着た上に、インナーダウンを。これは薄いわけではありませんが、軽いものです。一番外はダウンジャケット。ただし、これは作業ですぐボロボロになってしまいます。だから耐久性も重要なんですよ」

もちろん、すべて特別な製品なんですよね?

「一番外に着るダウンジャケットなどは耐久性も重要なので特注ですが、インナーはアウトドアメーカーなどで売っている市販のものを利用しています。最近はどんどん進化していますから、まったく問題なく使えますね。南極ならではのものとしては、観測隊特注の『D靴』というシューズを昔から使っています。アシックスさんが製造していて、他の国の観測隊にも採用されているんですよ。ソールがかなり厚くて、アッパー部分は3層くらいになっていて、実際の足のサイズよりかなり大きく見えますが(笑)。南極は平地だからそれほど問題ないですが、実はあまり歩きやすくはないんです。それよりも防寒重視ですね」
温度計はマイナス60.5℃を計測。この気温では、肌を少しでも出していることが許されない状況です。この写真では、少し鼻の頭が出ているように見えますが、やはりこの後、そこだけ白く凍傷になっていたとか。写真提供:国立極地研究所
南極で履いている靴! そんな触れこみ、男心くすぐられちゃいます。それにしても、過去、ボストーク基地でマイナス89.2℃という最低気温を記録したような世界。まったく寒さの想像がつきません。

「マイナス60~70℃になると、少しも肌を出さないように、目出し帽やゴーグル、ネックゲイター(首回りを守るもの)など、完全防備が必要です。例えばゴーグルとネックゲイターの間にちょっと隙間が空いたまま5分も外に出ていると、そこがすぐに凍傷になってしまうんです。凍傷は最初白っぽくなるので、肌が露出していた場所に、白いラインが入るんです(笑)」

数センチの隙間も許してくれない、南極の寒さの恐ろしさ。僕たちが簡単に行けるところではないけれど、一応観光ツアーなどもあります。そのとき持っていった方がいいものや注意点はありますか?

「防寒は言うまでもなく、実は日焼けや紫外線に気をつけた方がいいですね。恐ろしく日差しが強いうえに、雪の照り返しもあるので。しかも夏だとオゾンホールが一番開いている時期なんです。夏に外で作業していると、1日でヘルメットのヒモの日焼け跡がつきますよ。そういう意味では、ゴーグルやサングラスなども重要です」

白銀の世界でサングラスをしている姿はなんとなくかっこいいイメージがあったんですが、ただのかっこつけではないんですね。

南極に行きたいと思っているアナタ、まずは夏の昭和基地周辺と同じくらいの寒さらしい真冬の旭川に行くことがあったら(笑)、このファッションを試してみては? 今回はファッションの究極のカタチということで、
砂漠と南極、暑さと寒さの両極のファッションを調査してみました。

この両極端を知っておけば、
地球上どこでも生きていけるでしょうか!?

ちなみに僕は昔、冬のモロッコの砂漠に1泊したことがありますが、
確かに寒くてブルブル震えていたことを思い出しました。

さて、これにて「万が一のためのファッション講座」は終了です。
次回からは、世界各国の観光情報や食文化について紹介するコーナーが
始まりますので、まだまだお便りお待ちしています!

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト