途方もなく天文学的な宇宙の不思議 第1回

宇宙の果てには、いったい何が見えるのか?

2011.08.24 WED


この画像こそが、アメリカの宇宙探査機「WMAP衛星」がとらえた、宇宙誕生から38万年後の“宇宙の晴れあがり”の姿。文字数の都合により詳細な説明は省略するが、これは宇宙全体のマイクロ波背景放射を観測し、わずか10万分の1程度の温度の差を色分けした図だとか。この地点が、我々の目に見える宇宙の最果てなのだ 写真/NASA/WMAP Science Team
地上に暮らす僕らがもっとも身近に“宇宙”を感じられるのは、夜空を見上げたときじゃないだろうか。きらめく星は、この地球や太陽系の外にも世界が広がっていることを、目に見えてわからせてくれる。

ところで、ガリレオ・ガリレイがお手製の望遠鏡で木星の衛星を観測してから400年以上が経つ。その間に天体観測技術も格段に進歩しているけれど、もっともっと高性能な望遠鏡が開発されて遠くが見えるようになったら、宇宙の果てには何が見えるんだろう? 宇宙物理学者の佐藤勝彦さんに聞いてみると、「宇宙の果てに見えるのは、宇宙のはじまりです」と意外な答えが返ってきた。いや、禅問答でもポエジーでもありません。佐藤さんは、日本が誇るれっきとしたサイエンティスト。いったい、どういうことなのか?

「そもそも我々に物が見えるのは、そこから発した光が目に届くから。光は1秒間に地球を7周半も回るほどの速さで進むので、地球上の物を見る分にはほとんど時差は生じません。しかし、宇宙スケールとなると話は別。たとえば、地球から一番近い天体である月で約1秒半前、太陽なら約8分前、星からの距離によっては、何千年も何万年も昔の姿を見ているんです」

人類の有史以前の光景がこの目に見えるなんて不思議な気がするが、理屈はわかる。対象の位置が遠ければ遠いほど、光が届くまで時間がかかる。つまり、それだけ遠い過去を見ているってことだ。となると、宇宙の果てっていうのは…。

「現在は、この宇宙が生まれてから約137億年後。つまり、137億光年(1光年=光が1年で進む距離)先から届く光は、宇宙が誕生した瞬間である“ビッグバン”の光なんです。もっとも、ビッグバンから38万年くらいの間は宇宙が高温すぎて光は直進できなかったので、我々の目に見える宇宙の果ては、宇宙のはじまりから約38万年後の姿ですね」

こんな途方もない話で狐につままれたような気になっているのは、僕だけではないだろう。しかし、話はここで終わらない。なんと、宇宙の果てはすでに写真に撮られていたというのだ。…とても信じられないと思ったあなたは、上の画像をその目で確かめてみてください。
(宇野浩志)

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