ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第3回

日本の有人宇宙船開発が進行中?

2012.08.15 WED


大気圏突入データ収集装置「i-Ball(アイボール)」。「こうのとり」に搭載されており、大気圏を突破して帰還する。観測したデータは有人宇宙船の開発にも役立てられる 提供:JAXA
宇宙飛行士の食料から各種実験装置まで、様々な物資をISS(国際宇宙ステーション)に運ぶ日本の無人補給船「こうのとり」。7月21日の打ち上げ後に行われた記者会見では、古川元久宇宙政策担当相が「将来的には『こうのとり』に人を乗せて戻ってくる技術も持てるようにしていきたい」と有人宇宙船の開発に意欲を示した。

アメリカのスペースシャトルが引退した現在、人間を宇宙に運べるのは星出彰彦さんが搭乗したロシアの「ソユーズ宇宙船」と中国の有人宇宙船「神舟9号」のみ。歴史的に見ても、有人ロケットの開発に成功したのはこの3カ国だけだ。

日本の技術力は宇宙開発の分野でも高い存在感を示しているけど、なぜ日本では有人ロケットがまだ作れないのだろうか? JAXA宇宙科学広報・普及主幹の阪本成一さんに伺った。

「有人宇宙船となると、水や酸素を循環させる生命維持機能や大気圏に再突入して地上に帰還する機能、緊急時の脱出装置など、無人とは違った技術の開発が求められます。これを進めようにも現状では、世界的にも高い評価を得ている人工衛星や惑星探査機といった分野との両立は不可能で、有人宇宙船開発ための大幅な予算増が必要となります。また、乗組員の命を載せるわけですから、不慮の事故に対する“覚悟”も不可欠です」

有人宇宙開発に乗り出すには、まず何よりも、国としての決断が求められる…ということらしい。ただし、技術力は、着実に進歩しているようだ。

「国際的な信頼性を得るためには実績が足りませんが、実際のところ、日本は有人宇宙船を開発する十分な技術力を持っています。たとえば、現在JAXAが開発しているISS補給船『こうのとり』の後継機(HTV-R)には、回収機能が付加されます。これはISSでの実験結果や機器を地球に持ち帰ることが第一の目的ですが、将来的な有人宇宙船開発に不可欠である、安全確実な帰還・回収技術を実証・確立することにもつながるんです」(JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部の福田義也さん)

HTV-Rの打ち上げは、2010年代半ばあたりを予定しているそう。乗り越えるべきハードルは少なくないけど、国産の有人ロケットが飛ぶ日は、思いのほか近いかも。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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