ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第8回

宇宙への文化的アプローチとは?

2012.09.19 WED


日本実験棟「きぼう」で抹茶をたてる古川さん。器に水とカプセル状の抹茶を入れ、茶筅(ちゃせん)でかき回した。ちなみに古川さんが着用しているのは宇宙用の着物だとか 提供:河口洋一郎/JAXA
ISS(国際宇宙ステーション)での宇宙飛行士の仕事として、まず思い浮かぶのは最先端の科学実験だろう。しかし、JAXA名誉教授の的川泰宣さんによれば、宇宙で行われているのはそういった実験だけではない。「アート」や「人間の心」といった、文化的・芸術的なアプローチもあるという。

「こういった試みは『文化・人文社会科学利用』といい、日本が世界に先がけて力を入れている分野です。これまでの宇宙は、主に技術や自然科学の実験空間として利用されてきました。しかし宇宙は、人間の“心”について考えるうえでも有用な場所であるはずです。アートや伝統文化など、『宇宙でそれをやったらどうなるのか?』と人々の好奇心を刺激する試みもたくさん行われています」

例えば、古川聡飛行士の滞在中には「宇宙で抹茶をたてる」という試みが行われた。無重力でも水や粉がこぼれない特殊な器を使い、この試みは無事成功。日本古来の文化を世界に発信するとともに、抹茶の特徴である泡が地上よりもきめ細かく現れるという意外な発見もあった。

また、若田光一飛行士は、仏教絵画に描かれる「飛天」の姿をモチーフに「舞踊表現のパフォーマンス」を行った。ほかにも、宙に舞う球体状の水滴に墨を流し込んで美しい模様を浮かび上がらせるという試みや、無重力空間で使用できるように作られた楽器を使った演奏会など、従来とは異なるイメージの取り組みがいろいろと行われている。

これらはISS日本実験棟「きぼう」で行われたものだが、2013年に打ち上げられる「H-IIAロケット」には、多摩美術大学と東京大学が共同で開発した世界初の「芸術衛星」が搭載される。この人工衛星では、日本が牽引する文化利用をますます促進する存在として、芸術に特化した利用が行われるという。

科学実験よりも取っつきやすいユニークな宇宙の活用法。“ワクワク感”を味わえるのは案外こっちかも。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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