与野党が全面解禁に合意

「ネット選挙」夏の参院選で幕開け

2013.02.15 FRI


2012年からWeb上で展開されている「One Voice Campaign」は、公職選挙法の具体的な改正案の提言を行うなど、その活動が注目がされてきた。ネット上で広く知られる知識人らも数多く賛同している
いよいよ日本でも「ネット選挙運動」が解禁される。与野党は2月13日、インターネットを使った選挙運動を全面解禁する方向で合意。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアも含むWEBサイトの利用を、国政選挙・地方選挙ともに認めることになった。今夏の参議院選挙から実施する方針だ。

日本では1950年に制定された公職選挙法によって、候補者が選挙活動に使用できるメディア(ビラやポスターの枚数、政権放送を流せる時間など)が厳密に管理されている。インターネットはビラ同様の“文書図画”にあたるとして、96年から利用が全面禁止されてきた。それがようやく解禁されそうなわけだが、このタイミングで動き出したのは何か理由があるのだろうか?

「ソーシャルメディアの社会的な影響力が高まったことや、海外での活用事例が増えたことなど、理由は様々ですが、一言でいえばネットの有用性に政治家たちが気づいたからでしょう。直接的なきっかけとしては、3.11の震災時にネットが情報インフラとして有効に機能したことが挙げられます」

そう語るのは、ネット選挙運動解禁を推進する市民プロジェクト「One Voice Campaign」の中心メンバーである谷本晴樹さん(尾崎行雄記念財団・主任研究員)だ。

「そもそも公職選挙法は“公正でお金のかからない選挙”を実現するための制度ですが、わずかな費用で誰もが双方向に情報をやり取りできるネットは、本来的にその理念に適うツール。安倍首相をはじめ多くの現役議員がFacebookやTwitterで活発に情報発信している現状において、これを制限するのは世情にそぐわないといえます。TVや新聞で盛んに政治が語られ、有権者の意識がもっとも高まる選挙期間中こそ、候補者自身の声が聞けることは有意義なはずです」

しかし、実際にネット利用が解禁になったら、いろいろと混乱することもあるのでは?

「リスクとして議論されているのは、偽アカウントを使った“なりすまし”や、匿名の誹謗中傷、炎上をどうやって防ぐかという問題です。しかし、むしろ現状こそ取り締まる仕組みがない野放し状態なんですよ。ネット利用をオフィシャル化することで、悪質な妨害行為を防止するルールを作るきっかけになります。また、候補者にとってはマスメディアに対して“反論”ができるツールとしても活用できるでしょう」

選挙活動の幅が広がることで、どんな影響があるだろうか?

「現在のネットユーザー層を考えれば、若者世代の声が政策へ反映される可能性は高まるはず。政策を議論する場が作りやすくなることで、政策をしっかりとアピールできる候補者が台頭しやすくなる側面もあるでしょう。“従来のやり方”だけで選挙に勝ってきた議員にとっては死活問題ですが、政治への民意の流入は多い方がいいですから。候補者は誰に情報を届けたいかでツールを使い分ければいいわけです。候補者には、そのリテラシーが求められるようになるのは確かでしょう。裏を返せば有権者にとっても、自ら情報を精査してしっかり判断する力が求められるといえます」

ソーシャルメディアの台頭によって、ネットと現実の融合はどんどん進んでいる。選挙という民主主義国家の根幹に関わる仕組みにも導入されれば、社会におけるネットの影響力はますます大きくなりそうだ。
(呉 琢磨)

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