胃酸が食道を荒らす!?

「逆流性食道炎」20代に増加中

2013.05.20 MON


胃内視鏡検査の様子。近年は、従来の口からの胃カメラと比べて苦痛が少ないとされる、細いファイバーを用いて鼻から胃カメラを入れる「経鼻内視鏡」を導入している病院もある
最近20~30代を中心に「逆流性食道炎」、通称「逆食」と呼ばれる胃の病気が増えているそうだ。胃酸過多となった胃液が食道に逆流することで、炎症を起こし、胸やけや胃もたれ、胃痛など、様々な症状を引き起こす。

内視鏡による逆食の発見率が1987~89年の2.4%から、2003~05年には9.4%まで増加(島根大学医学部・足立経一教授の研究報告より)。これまでは、高齢者がかかりやすい病気だったが、若者にも増えているという。

「若い患者さんが増えている一番の原因は、『ピロリ菌』という細菌の保有率が世代的に低いからです」

そう教えてくれたのは、とよしまクリニック院長の豊島治先生。ピロリ菌とは胃酸の酸度を下げる働きがあるものの、胃の粘膜を損傷し、胃炎を起こす悪性の菌。衛生環境が悪かった頃はピロリ菌の保有者が多かったため、逆食の患者は少なかったそう。しかし、現在はピロリ菌の保有率が下がり胃酸の酸度が高い人が増え、患者も増えているのだとか。

「70代以上の人は半数以上がピロリ菌を保有していますが、20~30代になると保有者は2、3割。そのため、若い世代は逆食を発症しやすいのです。ただ、ピロリ菌は胃がんや十二指腸潰瘍の原因になると考えられていますから、発病のリスクを減らすためにはいないほうがいい。むしろ除菌治療をした方がよいくらいです」

ピロリ菌がいれば、逆食にはなりにくいけれど、その分、胃炎や胃がんなどのリスクが高まるのか…。ピロリ菌以外に考えられる逆食の原因は、どういうことがあるのでしょうか。

「食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけることです。特に油っこいものや甘いもの、香辛料のきついものの食べ過ぎはよくない。それから、おなかを圧迫しないように、姿勢をよくすること。太り過ぎも注意。脂肪が胃を圧迫してしまい、胃酸が逆流しやすくなってしまいます」

なるほど。ではもし発症したら、どうすればいいでしょう?

「逆食は命にかかわる病気ではありません。症状にもよりますが、1~2週間ほど飲み薬を飲めば治ります。ただ、再発が多い病気ですから、繰り返し逆食になる人には、胃散の分泌を強く抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期継続療法、ときどき症状が出る人には、具合が悪いときだけPPIを処方するオンデマンド療法が一般的になっています」

胸やけや胃もたれだけではなく、喉の違和感も逆食の疑いがある。

「会社の健康診断などで行うバリウム検査では、逆食かどうかの判断はつきませんから、内視鏡検査を行っている病院でしっかりと診察を受けてください」

普段の食事や姿勢に気をつけ、気になる症状があったら早めに診察を受けよう。
(成田敏史/verb)

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