DNSを変更するだけで、なぜ速くなる?

スマホを高速化する裏技のしくみ

2013.06.01 SAT


初期設定では、契約したインターネットプロバイダーに接続するDNSサーバーのIPアドレスが入力されている。設定を変更しても特に問題はないが、今後プロバイダーが他社サーバーへの接続を制限した場合、この裏技は使えなくなる可能性も…
スマホのWi-Fi設定画面でDNSという欄を見ると、「192.168.11.1」のような数字(IPアドレス)が並んでいる。この数字を「8.8.8.8」や「129.250.35.250」に変更すると、Wi-Fi接続が速くなるという記事をネットで見かけた。試してみると、確かにサクサクつながる気が…。一体どうして?

その理由を調べる前に、IT用語を復習しておこう。ざっくりいうと、IPアドレスはネットワーク上の住所のようなもの。ウェブサイトにアクセスするには閲覧先のIPアドレスが必要だが、単なる数値の羅列なので覚えにくい。そこで作られたのがDNS(ドメインネームシステム。例:r25.yahoo.co.jp)である。サイト閲覧時には、DNSサーバーがブラウザに入力されたドメインネームをIPアドレスに変換してくれているのだ。

このDNSサーバーの設定を変えるだけで、なぜ通信速度に変化が生じるのか。

「ドメインネームとIPアドレスの変換スピードが速いから、というのが1つの理由ですね。たとえば、『8.8.8.8』はグーグルが提供しているDNSサービスなのですが、通信速度が向上するポイントがあるんです」と教えてくれたのは、情報通信コンサルタント業務を行う「企(くわだて)」代表のクロサカタツヤさん。

「世の中の多くのサイトは、負荷分散のために複数のサーバーを使っています。つまり、ドメインネーム(URL)が1つに見えても、複数のIPアドレスをもっているわけです。通常のDNSは、『このユーザーにはこのIPアドレスを…』と、いつものサーバーにつなぐのですが、グーグルの場合はその都度もっとも混雑していないサーバーを探し、そのIPアドレスを割り当てます。世界中の情報の流れを把握しているグーグルだからこそ実現できる仕組みですね」(同)

なるほど。でも、この記事を読んでグーグルのDNSサービス「8.8.8.8」につなぐ人が急速に増えたら、重くなったりしませんか?

「処理能力を超えるアクセスがあれば、十分あり得ます。現状に不満がなければ、特にDNSを変更する必要はないでしょう。接続が遅くて、どうしても我慢できないときに設定してみるくらいでいいのでは」(同)

実は、グーグル以外にもDNSサービスを提供している事業者は複数ある。ただし、そのDNSを設定することで必ずしもネット接続が高速化する保証はない。

さらに、セキュリティ面での懸念もある。仮に、悪意ある業者や個人が不正目的でDNSを公開し、一般ユーザーがそのDNSを設定してしまったとしよう。すると、偽のIPアドレスが割り当てられてフィッシングサイトに誘導され、クレジットカード番号などの個人情報を抜き取られる可能性もあるのだ。

今回の記事を読んで、「さっそくスマホの設定を変えるぞ!」なんて即座に反応するのではなく、この手の裏技にはさらに裏があるのかも…と、一時停止。そのメカニズムとリスクの有無を把握することが、快適なスマホライフを楽しむために必要なことではないでしょうか。
(南澤悠佳/ノオト)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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