PinterestやTumblrも

ウェブ業界 デザイナーブーム到来

2013.06.02 SUN


Pinterestのトップページ。気に入ったものを「ピンで留める」だけという簡単かつオシャレなピンボードが人気だ ※この画像はサイトのスクリーンショットです
昨今、IT先進国アメリカのweb業界で新たな潮流が生まれつつある。それは何か?
「デザイナーの台頭」である。従来、web業界では有能な「プログラマー」に注目が集まりがちだった。ところが最近では、優れたデザイナーこそサービスの成否を左右する…そう思われるようになってきたという。

「デザインの重要性に対する注目度が高まったのは、『The Designer Fund』というファンドが2011年に設立されたのがきっかけ。同ファンドはデザイナーを金銭的に支援するべく設立されたファンドですが、これ以降“有能なデザイナーは投資対象として価値がある”という認識が広がりました」(リクルートMedia Technology Labs・石山 洸 氏)

優れたデザイナーを擁するIT企業は投資家からの評価も高い、と石山氏。大型の資金調達に成功しているケースも少なくないという。

「たとえば、1億3800万米ドル調達したといわれる写真共有SNS『Pinterest』や、1億2500万米ドル調達したといわれる情報共有サービス『Tumblr』などが有名です」(同氏)

なかでも最近注目されているのが、音楽共有サイト「Turntable」アプリ版のデザイナーを務めたSahil Lavingia氏だ。同氏は2010年から写真共有SNS「Pinterest」に参加し、頭角を現してきた。当時、同氏は弱冠19歳。早熟ぶりが窺われる。

「2010年3月に開始した『Pinterest』は約2年で1800万のユーザーを獲得した急成長中のサービス。この成長を支えたのがデザイナーのSahil Lavingia氏です。同氏は今年、『Gumroad』という誰でも簡単にデータを販売できるサービスを自らスタート。手数料はわずか5%で、デザイナーやクリエイターが作品を直接販売するという新たなスタイルが注目を集めています」(石山氏)

ほかにも、今後の動向が注目されているデザイナーは少なくない。

「たとえば、YouTube のロゴを設計した元YouTubeCEOのチャド・ハーリー氏。彼はYouTubeを共同創業したスティーブ・チェン氏と新たなネット企業・AVOSを立ち上げ、4月に新サービス『Zeen』を発表。同社のトップページには『美しい雑誌を発見・制作しよう』というメッセージが掲げられています。そしてもう一人、プレゼン資料共有サイト『SlideShare』を立ち上げたラシミ・シンハ氏も今後の動向に注目が集まっています。彼女は公式サイトで、『開発者とデザイナーとが真にコラボレーションしてこそ、優れたソフトウェアができると信じている』と述べています」(石山氏)

ちなみに『SlideShare』は今年5月、世界最大のビジネス系SNS『LinkedIn』に1億1900万ドルで買収され、その価値が再評価されたという。

では、今後こうした潮流は日本にもやってくるのだろうか?

「既に兆しが見えつつありますね。たとえば『sumally』というサイト。こちらは『この世界に存在するすべてのモノの“百科事典”を作ること』を目指したサービスですが、デザインの素晴らしさで注目を集めています。同サービスのロゴをデザインしたのは宇多田ヒカルのアートディレクションも手がける青木克憲氏。ウェブサイトはユニクロなどを手がける『Tha ltd.』の中村勇吾氏が担当しています」

同サービスは、2011年11月に公開して以来、急拡大。5月末時点で月間15万を超えるユニークユーザーを集めている。

ユーザーインターフェース(UI)と、ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性が高まる昨今。日本でも今後、デザイナーの存在感は今後さらに高まっていくかもしれない。

※この記事は2012年6月に取材・掲載した記事です

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