NHK、日テレ、フジ、テレ朝…TV局がVRに続々参入

災害報道をVRで…ニュースがより“実感的”になる?

2016.10.02 SUN

仕事からムフフまで VRで変わる僕の日常


360度カメラで撮影した東日本大震災の現場映像に、震災時の映像を合成したもの。その場にいるような感覚で、体感的にニュースを伝える工夫の1つだ
画像提供/フジテレビジョン
ゲームやアミューズメント施設などで目にすることが多くなったVR(仮想現実)技術だが、まだ一般化しているとは言い難い。しかし、日常的に目にするような存在となる日は決して遠くないかもしれない。最近、テレビ局がVRコンテンツの開発に動き出しているのだ。

フジテレビは、グリーと共同で進める「F×G VR WORKS」を今年5月に発表。両社が誇る企画・キャスティング力やWEB・アプリ開発実績、プロモーション力などを結集させ、外部のクライアントに向けてVRコンテンツを制作していくプロジェクトだ。

テレビ朝日もフジテレビと同様に、VRコンテンツの制作を請け負うプロジェクト「VR-plex」を発足。NHKは、360度カメラで収めた映像や静止画をネット上で閲覧できる「NHK VR NEWS」を開設。日本テレビは、今年3月に開催した技術展示会「デジテク2016」でVR映像と立体音響をかけ合わせたシステム「テオミルン」などのデジタル技術をお披露目した。

●テレビ局がVRに力を入れるメリットとは?


2016年に入り各局が一気に力を入れ始めているVRだが、テレビと組み合わせることで、どのようなメリットがあるのだろうか。「F×G VR WORKS」を担当しているフジテレビ VR事業部の清水俊宏さんに聞いた。

「実写の力を最大限に引き出せるテレビにおいて、VRコンテンツを使えば、“面白さ”を量産できると考えています。現状、VRはITリテラシーの高い人が中心となって楽しんでいる印象があります。しかし、あらゆるプラットフォームのなかでも、報道・ドラマ・バラエティ・歌番組と多様なジャンルのコンテンツを提供できるテレビ局が参入することで、まだVRに詳しくないユーザーが接する機会を増やせますし、映像を通じた新体験を生み出せると思います」

清水さんが主に担当している報道分野では、VRを取り入れることで「ニュースに実感を持てる」というよさもあるという。例えば、東日本大震災の津波の情報を数値で伝えるだけでは視聴者は理解しづらいが、360度カメラで撮影した臨場感のある現場映像をヘッドマウントディスプレイで見ながら「ビルのあの高さまで水没した」という情報を聞くと、体感的に知ることができるわけだ。


ジャーナリズム × VR 「私はこの場所で被災した」【F×G VR WORKS】
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今までと違った表現手法で見せられる分、撮影方法もまったく違ってくるそう。

「360度カメラでの撮影では、映像にスタッフや機材などが入り込まないよう、出演者以外は隠れなければいけません。カンペなども出せないので、より出演者の能力が求められます。また、360度見渡せるために、視聴者の視点が定まらないという懸念点もあります。制作者が見てほしいと思う部分を見てもらえず『つまらなかった』と思われてしまうことを避けるため、視点を定めるナレーションなどを丁寧に入れる必要があると感じています」

●VR時代、テレビ局が担う役割は…


テレビとの融合によって、さらにVR熱は加速しそうだが、そのなかでテレビ局が担う役割はどうなっていくのだろうか。

「テレビ局が動くことで、VRの市場を拡大できるのではないかと思っています。テレビ局は番組制作のノウハウやキャスティング力があり、実験的な物作りもしやすい環境です。たとえば、マルチデバイスニュースメディア『ホウドウキョク』では、この秋に予定しているリニューアルを機にVRコンテンツを増やしていきます。議員の会見や街頭演説、記者や町の人の視点の360度映像などを既に撮影しているほか、報道マンしか行けない場所で制作したコンテンツを配信する予定です。『ホウドウキョク』以外にも、ワンシチュエーションのドラマなど、VRならではの表現を生かした番組や作品の構想を練っている最中です。この流れを途切れさせずに定期的にコンテンツを発信していきたいです」

清水さんは「ネット上だけでなく、テレビでもVRカメラを使った演出は出始めていて、これから増えてくる」とも話す。360度カメラで撮影することで、映像の編集が多様になり、これまでに見たことのない映像が生まれていくようだ。

日常的にVR技術を用いたテレビ番組を見る日が来るかもしれない。楽しみに待つとしよう。
(有竹亮介/verb)

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