50万円で宇宙に行きた~い!

第7回 100万年後の人類はタコタコ星人か?

2009.06.30 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!

前回は「宇宙でセックスはできますか?」についてレポートしましたが、
今回はリアルと妄想を織り交ぜて、よりSF的な世界に突入したいと思います!

もしも人類が宇宙で暮らし始めたらどんな姿カタチになるのか?

人類の祖先が海から陸にあがり2本足で歩き始めたように、
陸からそら(宇宙)にあがった人類は、とてつもない進化を経験するのか?
手足はどんどん細くなり、タコみたいな火星人体型になる?
宇宙空間でも生きられる金属のような皮膚を持つとか?

果たして、未知なる宇宙は人体にどのような影響を及ぼすのでしょうか!


日本人初の長期滞在(約4カ月)のミッションを遂行する若田さん。具体的な骨の減少や放射線の影響は、帰還後に調べていくのだ。JAXA・NASA

骨の減少に宇宙放射線宇宙ってチョー危険なんです!



宇宙に行くと「骨が10倍のスピードで減る」とか「宇宙放射線をガンガン浴びる」とか、それはもう健康に悪そうな噂を耳にするばかり。やっぱ人間、体が資本ですからね。そんなに危険なら、ボクの50万円宇宙旅行計画も、考え直す必要があるかもしれません。「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」の医学博士・大島 博さんにそこんとこの話を聞いてみました。

「1週間程度の宇宙滞在のときに、まず身体に影響を与えるのが、宇宙酔いや体液の上昇がもたらす様々な症状です。宇宙酔いとは宇宙船の中で起こる乗り物酔いのような現象で、吐き気や嘔吐、頭痛などが突然起こります」

えーと、自分、電車でも酔うことがあるんです。たまにですけどね。

「宇宙酔いのメカニズムはまだ分かっていませんが、このように考えられています。地上で私たちは『目からの情報』と『耳からの情報(耳の奥の耳石器で重力や加速度を感知する)』、『手のひらと足の裏側の筋肉からの情報』の3つを無意識に統合し、自分の体の位置や動きを判断しています。無重力下では耳と手足からの感覚がなくなり、重力を統合する処理ができないため、脳が混乱して宇宙酔いするといわれています。とはいえ、宇宙酔いは3日ぐらいでなくなります」

つまり、3日間酔い続けるってことですか。うぅ、ハードルが高くなった。

「さらに無重力下では体の中の水分(血液を含む体液)1~2リットルが、顔を含む上半身に移動します。そのため顔はむくんで『ムーンフェイス』という状態になり、脚は『バードレッグ』といわれるほど細くなります。こちらも、体が変化を感知して徐々に体液のバランスを取っていき、ムーンフェイスは最初の2~3日がピークで、1カ月もすればほぼ元の状態に戻ります」

こちらも一時的な症状なので、人体に致命的な影響を及ぼすことはないらしい。では、今回の若田宇宙飛行士のように約4カ月に及ぶ長期滞在の場合はどんなことが起こるの?

「長期滞在では骨や筋肉の減少と宇宙放射線が問題になってきます。宇宙ではカルシウムが骨に沈着しにくくなり、地上の10倍の速さで骨密度が低下します。お年寄りは年間約1%の骨が減りますが、宇宙では月に平均1~1.5%、最大2.5%減るケースもあります。同様に、使わない筋肉も衰えていきます。筋肉は1 日平均1%減り、3カ月で30%減ったケースもあります」

ちょっ! ってことは、若田さんは最大10%の骨が減り30%以上の筋肉が落ちるってこと? つか、減るだけの筋肉がないボクはなにが減る!?

「筋肉の減少は1日2.5時間の運動で補います。骨の減少も運動で多少カバーできますが、それだけでは足りません。そこで、今回若田さんは『ビスフォスフォネート』という、骨粗しょう症の治療に使われる薬を飲んでいます。これが有効という結果になれば、宇宙での骨の減少を予防する対策になります。若田さんは約4カ月の宇宙滞在で、理論上はお年寄りの10年に匹敵する骨や筋肉の減少を経験しますから、それを予防するためのトレーニングや薬の効果を地上に持ち帰ってもらうことで、お年寄りの骨粗しょう症の予防に役立てたいとも考えているんですよ」

なるほど。最先端の宇宙医学が地球へ還元されるのはいいことですな。

「一方の宇宙放射線は、なんでも透過する性質なので、宇宙船の中にいてもどうしても被曝してしまいます。一般的に、被曝線量が一定値を超えると、白内障やガンを誘発しやすくなります。女性なら卵子に深刻な影響を与える可能性もあります。そこで、宇宙飛行士は宇宙に行く前に、これまでの生涯でどれだけ放射線を浴びているかを必ず調べ、各宇宙飛行士が危険な水準を超えないようにミッションの期間などを割り当てるんです。もちろん、これまで宇宙へ行ったことが原因でガンになった人はいません」

う~ん。許容範囲とはいえ、今のところ宇宙放射線を100%防ぐ方法はないのね。やはり宇宙は人間にとって、まだまだ危険な場所のようです。

じゃあ、100万年後はどうなってる?
後編では、宇宙に進出した人類の数百万年後を、
空想科学研究所の柳田理科雄先生に直撃!
もし、無重力下の宇宙で人類が数百万年暮らしたら、こんな姿になっているのかも!? イラスト/近藤ゆたか

柳田理科雄先生教えて!宇宙で暮らす人間はどんな姿?



人類が宇宙で子孫を繁栄させて、数百万年経たとしたら。果たしてどんな姿になっているのでしょう?
やっぱ宇宙では筋肉を使わないから、手足がひょろひょろになって、頭が大きくなって火星人みたいな姿になるんでしょうか。火星人見たことないけどね。
『空想科学読本』の著者であり、空想科学研究所・主任研究員の柳田理科雄先生に話を聞いてみました。

「仮に、水と空気が確保され、宇宙放射線を遮断した無重力下のスペースコロニーで、人類が数百万年暮らしたと仮定しましょう。その場合、やがて脳の発達が見られると思いますが、それは重力がないから脳が発達するんじゃなくて、数百万年も経つといろんな突然変異が発生するからです。なかには脳が大きいものも小さいものも誕生するでしょう。地上では脳が大きすぎると運動能力に支障が生じますが、無重力なら問題ありません。物理的な問題がなければ脳は大きい方が様々な情報を素早く処理できるなど、都合がいいので、その子孫が生き残る可能性は高いでしょうね」

ちなみに約600~700万年前の猿人の脳容量は約400cc前後だったが、今の僕らの脳容量が平均1500cc前後。約600万年の進化で脳が4倍近くにもなっている。数百万年後には脳はもっとデカくなるんですか?

「そういうこともありえます。また、無重力の宇宙では短期間で骨密度が低下し、使わない筋肉はどんどん萎縮していきます。子どもが成長して手足や背が伸びていくのは、骨の末端の軟骨が重力で刺激されるからです。もし重力から解放されて刺激を受けず、筋肉も萎縮していったら、宇宙の人間は手足が短くて弱くなるということが考えられます。人間は重力を支えるために脚の筋肉が手の筋肉より発達していますが、体重を支える必要のない環境で数百万年も経てば、手と足がまったく同じ太さになるなんてこともありえますね。また、移動するときも壁を使って動くだけなら、体を支える背骨もあまり必要ない。大人と子どもが似たような幼児体型になるかもしれません」

なるほど。宇宙に暮らす僕らの子孫は火星人体型じゃなくて、頭が巨大で手足が同じ長さの幼児体型。

「ちなみに、月は地球の1/6の重力で火星は地球の1/3の重力です。ということは、月で育った月星人と火星で育った火星人、さらにスペースコロニーの無重力で育った人間とではそれぞれ違う姿になる可能性があります」

あの~、さらにもう百万年とか経ったら、もしかして真空の宇宙にも適応したスーパー人間とか生まれてきたり? こなかったり?

「宇宙は真空状態ですが、真空とは気圧がゼロということです。気圧が下がると液体の沸点も下がり、体内の水分が沸騰し、水蒸気になってしまいます。もし、体の水分が沸騰して蒸発したら体内にガスが充満し、体が風船のように膨らんで、やがて破裂してしまうはずです」

宇宙に出た瞬間、ひでぶ!

「たとえ数百万年後であっても、宇宙空間そのものに人類が対応するのは難しいと思います。仮に宇宙空間でも暮らせる生物が生まれるとしたら、人類とまったく違う環境で進化の過程を経たなにかでしょうね。例えば、紫外線をエネルギーとして子孫を残していく宇宙バクテリアや、ジャミラのように宇宙放射線で突然変異を起こした怪獣とか(笑)。可能性は相当低いですが、ゼロとは言い切れません」

むぅ。残念ながら、生きてるうちにジャミラになれる気はしません。
しょうがないので全裸宇宙遊泳の夢は数億年後の子孫に託しておきます。 宇宙は人間が生きていくためにはかなり不健康な環境みたい。
一見華やかに見える宇宙飛行士も、常に危険と隣り合わせなんですね。

でも仮に、宇宙に人間が適応して暮らし始めたとしたら、
彼らは一体なにを考えるのでしょうかね?
グローバルを越えてユニバース(?)な物の見方をするのかもしれませんね。

これからも宇宙の素朴な疑問を追究します。
気になることがあればお便りプリーズ!
バカバカしいネタ大歓迎です!

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