半径3メートルの身近なデジタル

第6回 今さら聞けないハイビジョンのスゴさ

2009.08.19 WED

半径3メートルの身近なデジタル

ハイビジョンがキレイな理由をざっくりと説明してみた



ある雑誌の特集企画でお仕事をしたモデルさんとヘアメイクさんとの雑談で知ったのだが、最近はハイビジョン放送に対応したファンデーションがあるそうだ。キレイに映るハイビジョンだけに、従来型ファンデーションだとお肌のくたびれ具合まで丸わかりなのだとか。

そういえば、某タレントも「ハイビジョンでブルーレイのセクシービデオを見ていたら、自分がその場いるのではないかと錯覚する」といっていた。恐るべき臨場感だ。

そもそも、ハイビジョンはどうしてそんなに臨場感があるのか、あらためて復習だ。テレビの映像は、小さな点(画素)の組み合わせからできている。当然、画素数が多い方が、表示される情報量も増える。スゴくわかりやすくいうと、点だけで絵を描くときに、100の点を組み合わせて絵を描くのと、1万の点を組み合わせて絵を描くのでは、1万の方がより緻密な絵を描けるのと同じことだ。
図表は従来の解像度との比較。640×480画素のアナログテレビと、1920×1080画素のフルハイビジョンの違いは一目瞭然。ちなみに、画面の縦横比は人間の視野に合わせた16:9の比率を採用している
まずは放送。従来のアナログ放送は、縦と横が640480画素の映像に対し、地デジ放送は14401080画素、BSデジタル放送なら19201080画素で送られてくる。アナログ放送と比べると、実に4倍以上の情報量なのだ。そりゃキレイに映るわけだ。

もちろん、放送だけが進化しても仕方がない。受信するテレビも多くの情報を表示できなければ、キレイな映像を見ることはできない。

JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の規格では、走査線(垂直方向のピクセル)が650画素以上で、ハイビジョンテレビと称される。だから、テレビの画素数で1366768画素以上のものがハイビジョンテレビというわけだ。

それでは最近よく耳にする「フルハイビジョン」とはいったいなんなのか? パナソニック株式会社 デジタルAVC マーケティング本部の山口耕平氏に説明してもらった。

「フルハイビジョンとは、19201080画素の映像をそのまま表示できるデバイスのことです。BSデジタルやブルーレイの情報も19201080画素で作ってあるので、そのまま映し出すことができます」

画 像の緻密さでは『アナログ放送(640480)<DVD(720480)<地デジ(14401080)<ブルーレイ・BSデジタル放送 (19201080)』の順なのだとか。最上級のブルーレイ・BSデジタル放送画素情報を間引かずそのまま堪能できるのがフルハイビジョンモデルってわ けだ。逆に、いくらフルハイビジョンモデルのテレビでも、DVDではそもそも720480と映像の情報量が少ないので、ブルーレイほどの美しさは望めな い。うーん、残念。

「小さな画面だとフルハイビジョンの良さがあまり感じられないかもしれません。しかし、大画面になると画質の違いがよくわかります。500万画素と1000万画素のデジカメで撮った写真も、引き延ばして印刷したら違いがよくわかるでしょう。それと同じですね」(山口氏)

ひと口にハイビジョンといっても、再生するソフトの解像度やテレビのサイズによって大きく画質が変わるのだ。まだアナログテレビのあなた、買い替えの時にはぜひそのあたりも参考にしてください。
右はパナソニックが開発した150v型のプラズマディスプレイ。解像度は4096 ×2160画素のいわゆる4K2K。横幅は約3.3m 高さ約1.9mはド迫力。これでスーパーマリオをプレイして、キノコをとってでかくなるマリオを見てみたいです

3Dに超高解像度未来のテレビはどこに行く?



あまりに当たり前すぎて、これまで誰にも聞けなかった疑問がある。テレビの機種によって映像の見え方が違うのはどうして? 同じブルーレイや地デジの映像を、同じ19201080画素のテレビで再生しているのに、なんで画質に差が出るの?

パナソニック株式会社 デジタルAVC マーケティング本部の山口耕平氏によると、それはテレビ本体の表現力の差で、使用している「パネル」と「映像処理」、「絵づくり」などで画質が左右されるとのこと。

「プラズマディスプレイと液晶ディスプレイでは見え方が違いますね。液晶はバックライトを使っていて、透過する光の量を制御して画像を作り出します。バックライトは常時点灯しており、テレビ側から次の画像を作り出す指示がくるまでは、前の画像が残っています。これが、残像が残りやすい原因です。一方、プラズマは、画素をひとつずつ制御し発光させて映像を作り出します。パッと点いてパッと消えるので、液晶のように前の絵が残りません。ですから、プラズマは速い動きをしっかりと映し出せる特長があります」

動き以外でも、画素をひとつひとつ発光させているプラズマは、暗所コントラストや視野角でもすぐれているとのこと。それじゃ、どうして全部のテレビがプラズマにならないの?

「プラズマでは、発光する画素を小さくするのが難しいんです。それに、小さい画面ならば、視野角や速い動きも大画面ほど差異がでません。パナソニックでは、パネル特性を見極めた上、大画面はプラズマ、それ以外は液晶とパネルを使い分けています」

画質に差が出るもうひとつの理由は「映像処理」と「絵づくり」だとか。

「映画は、ハイビジョンの規格を超えた豊かな色情報で制作されています。したがって、ブルーレイやハイビジョン放送は、映画に比べ色情報が圧縮された形になっています。パナソニックでは『ハリウッドカラーリマスター』によって、これをデジタルシネマのような豊かな色表現に復元しているんです」

ブルーレイ・ディスクの作成時には、カラーリストと呼ばれる色調整のスペシャリストが、映画のオリジナルに出来るだけ近づけるように色調整を行っている。「ハリウッドカラーリマスター」は、それとは逆のプロセスをTV側で行うもの。テレビがまた一歩、映画に近づいているのだ。テレビの進化恐るべし。
写真はNHK放送技術研究所が公開したスーパーハイビジョンの写真。まるで目の前に流氷が流れているようです。九州国立博物館にはシアターが常設され、NHKのイベントなどでも見ることができます。こんな高画質でアイドルを見たら、嬉しいというよりも粗が見えてへこみそうです 写真提供/NHK放送技術研究所
このままさらに進化するとテレビはどうなるのか? 経済産業省が発表している「技術戦略マップ」には未来のテレビ像が示されている。

それによると、4K2Kと呼ばれる40002000ピクセル以上のテレビが、2015年には普及価格で発売されるとのこと。40002000ピクセル といえば、フルハイビジョンの4倍もの情報量。しかも、2025年にはさらにその4倍の情報量になる、8K2Kのスーパーハイビジョンが登場する予定と か。ここまでくると、自分の目で実際の風景を見るのと変わらないのではないだろうか。

パネルの仕組みに関しては、液晶やプラズマに続き、薄型化が可能で、高コントラスト、高い輝度、広い色域などの特徴をもった有機ELディスプレイの可能性が模索されている。

前出の山口耕平氏によると「有機ELもスーパーハイビジョンも、魅力的な次世代テレビだと考えており、研究を進めている」とのこと。しかし驚いたのは次の言葉。

「ただ、もっとも実用化が近いのは3Dテレビだと思います。テレビの歴史は白黒から始まりカラーになった。そして大画面化、薄型へと進化。ハイビジョンに なり映像がすごくキレイになりました。でも、これらはすべて2次元の話です。今のテレビサイズで考えるなら、フルハイビジョン3D(立体)テレビが、今ま でにない臨場感を体感できる新しいテレビのトレンドになると考えています」

確かに、3D映像は映画などでは徐々に増えてきているし、ヒュンダイは3Dテレビをすでに販売開始している。そしてパナソニックは、3DもフルHDである べきと主張する。今後、この3Dテレビの話題は盛り上がりそう。進化し続けるテレビ。あー、買うタイミングがわかりません。 我が家のテレビの右端には「アナログ」の文字が浮かんでいる。
ひどいときには、画面の上下に
「アナログ放送は、2011年7月に見られなくなります」
なんて文字も。

なんだか『はやく地デジ対応の薄型ハイビジョンテレビを買え』と
迫られている感じがすして、ちょっとした劣等感なんですけど。

でも、いざ購入を考えると、
もしかしたらもっといいテレビが出るかもしれないと
つい二の足を踏んでしまう。
特に、3Dテレビやよりキレイな画面が見られる有機EL、
4K2Kテレビの存在を知ってしまうとね。

とはいえ、リミットはあと2年。ギリギリまで待って購入するのか、
エコポイントに乗じて今すぐ買うのか、悩ましいところです。
って、よく考えたら先立つものが。まずは貯金から始めます。

ちなみに、今回簡単に触れた3Dの話は、次回以降でより詳しく取り上げます。
もし、3Dの未来で気になることがあれば、ぜひ投稿してください。

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