知られざるあの仕事の報酬

第9回 どうやって決まっている? 鳶(とび)の報酬は?

2011.05.02 MON

知られざるあの仕事の報酬


鉄の棒で足場を組んでいく、とび技能士検定試験の実施風景。昔ながらの木材で組む足場も、神社仏閣修繕などの際には欠かせないという 写真提供:京都府鳶工業協同組合

身軽な人ほど、財布が重たくなる仕事です



2012年春に開業予定の世界一の電波塔、東京スカイツリー。あんな巨大なものでも、てっぺんでは生身の人間、鳶(とび)の人たちが作業している。それも地上500m以上なんていうと、話を聞いただけでぞっとする。鳶の報酬は、やはり作業が高所になるほど高くなるの? 京都府鳶工業協同組合の事務局長、榎本洋一氏に話を伺った。

「高さによって報酬が変わる、ということはないです。ただ東京スカイツリーのように責任が重い仕事をこなせば今後の営業に有利で、高い報酬につながります。そういった仕事にも声がかかるよう、鳶は資格を持っていたほうが有利です」

えっ!? 鳶にも資格があるんですか?

「『とび技能士』という1級から3級までの国家資格があり、学科と実技試験に合格した者に与えられます。1級は受験までに7年の実務経験が必要なうえ、合格率が6、7割程度に止まるため、業界でのニーズは高め。重要な仕事に関わるためには欠かせない資格です」

そうなんですね。じゃあ、報酬はどのように決まるのでしょう?

「基本的に日当で支払われるケースが大半で、地域ごとの事情で変化。高めで日当1万7000~1万8000円、低いエリアで日当1万円、というところでしょうか。残念ながら不景気にともない単価は下落。十数年前には日当2万5000円なんて仕事もあったんですけどね」 すると、年収ではどのくらい?

「独立したベテランの親方個人の年商が600万~700万円くらいでしょうか。そこから各種保険などを少し引いた額が手元に残るイメージです。独立した若い人の個人の年商で400万~500万円といったイメージ。かつてよりは下がっていますが、サラリーマンの平均年収と同程度ですかね」

では、時給に換算すると?

「鳶の仕事は、元請けが大手であるほど厳しく労働時間が管理され、1日に8時間までしか働けないことが多いんです。先ほどの日当1万8000円を例にすれば、時給は2250円になるので、労働効率自体はいいともいえますね。ただ、景気の悪化により業界全体の仕事が減っているため、単純に労働時間を増やして稼ぐ、ということは難しそうです」

ちなみに、鳶や大工さんは「ニッカーポッカー」という、ワタリが極端に広いズボンをはいている印象の人も多いはず。これには歩くときに障害物を認識する役割があるそうだ。だけど、鳶は高所の作業時には邪魔になるからはかない、というのが本当のトコロ。勉強になりました。  

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