東日本大震災から早くも4カ月

復興の兆しは見えてきたが…「医療過疎」加速の危機

2011.07.21 THU


がれきから化学物質やアスベストをともなう粉じんが飛び交い、呼吸器疾患が懸念されている。野焼きは禁じられており、処理はなかなか進まない
撮影/高橋由里
3.11から130日が経った。寸断されていた橋はかけ直され、漁港が再開するなど、復興への兆しが見え始めた被災地だが、なかなか再建が進まないものがある。地域医療だ。

震災直後、病院の屋上に追い込まれた人たちが「SOS」の文字を作って救助を待つ映像を見た人も多いだろう。一時は大量の二次被害者発生が危ぶまれたが、幸い、その後、緊急医療支援チームが現地入り。人工透析患者は他県に避難するなどして、最悪の事態は逃れた。20~30歳代の若手ボランティアも現場で大活躍した。

しかし、その支援チームも6月末でほぼ撤退。避難所や仮設住宅での不自由な暮らしが続くなかで梅雨明けを迎え、暑さによる被災者の健康被害が心配される。

筆者が取材した気仙沼市の沿岸地区では、放置された腐敗魚やがれきの水たまりから、大きなハエが大量に発生していた。周辺の家庭では今、酢や日本酒の溶液を入れたハエ捕りペットボトルが手放せない。外に置くと、500ミリリットルのボトルの半分近くがすぐにハエで一杯になってしまう。

このほかにも、ヘドロやがれき処理で呼吸器疾患にかかるリスクも高まっている。具合が悪くなったらすぐに医者にかかりたいところだが、今回は病院やクリニックも数多く被災し、医療ネットワークが大ダメージを受けてしまった。

壊れ、水につかった病院を造り直すには莫大なカネがかかる。今は仮設診療所でがんばる開業医も、何人くらいの患者が来るのか、医療スタッフは確保できるのか不透明とあっては、クリニック再開をあきらめる例も出てくるだろう。東北はもともと医師不足だった地域だけに、「医療過疎」へ突き進むリスクをはらむ。

住民にとって橋や港同様、医療もまた暮らしの支えとなる。生き残った命を危険にさらすようなことがあってはならない。
(高橋由里/『週刊東洋経済』)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト