数字で読み解く! 人生の「確率」/第9回

その努力が報われる確率は?

2011.10.17 MON


言うまでもないことだが、1回も挑戦しないであきらめた場合の成功確率は0%。確率なんて考える前にまず行動することが、成功確率を高めるためのセオリーなのである?? 画像提供:Liane/PIXTA
56歳という若さで世を去った、アップル社前CEOのスティーブ・ジョブズ氏。報道では盛んに「天才」という表現を用いてジョブズの人となりを紹介していた。しかし、評伝などを読めばわかるが、MacintoshやiPhoneなど、歴史を変えたといわれる彼の功績の陰には、数多くの失敗があったこともまた事実。確かに彼は天才だったのだろうが、一方で「たとえ何回失敗しても成功するまであきらめない」という、努力の人でもあったのだ…。

…なんて話になると、当然のように予測されるのが「だから努力は大切。たとえ天才でなくても、努力は報われるのだから頑張れ!」式のお説教。しかし、才能が乏しくても、本当に「努力は報われる」ものなのか。今回は努力が報われる確率について考えてみたい。

仮に、成功確率が1%という課題があったとしよう。この課題に1回だけ挑戦した場合の成功確率は1%。だが、何回か挑戦したうちの少なくとも1回は成功すればいいという条件であれば、挑戦回数を重ねることで成功確率はあがっていく。

たとえば、2回挑戦して1回以上成功する確率はどうだろう? 1回挑戦して失敗する確率は99%。2回とも失敗する確率は、

0.99×0.99≒0.98=98%

なので、2回の挑戦のうち1回以上課題に成功する確率は100%から98%を引いた2%ということになる。もちろん、これでも可能性は低いままだが、1回しか挑戦しなかった場合に比べ成功確率が倍に高まったことになるわけだ。これだけでも、1回しか挑戦しなかった人は損をしている、といえるかもしれない。

では、この挑戦を50回続けた場合の成功確率は、どのように変化するだろうか? 1回だけなら1%、2回なら2%なのだから50回挑戦した場合は50%に…と考えたいところだが、50回すべて失敗する確率は、

0.99^50≒0.61=61%

なので、1回以上成功する確率は39%ということになる。ちなみに、100回挑戦した場合の成功確率は約63%。さらにいうと、成功確率が99%を超える(四捨五入して)のは、418回以上の挑戦となる。

さて、ここまでの計算をみると、「成功確率1%でも100回挑戦を繰り返せばいつかは成功する!」という考えは、確かに正しいことになる。

しかも、これはあくまでも確率という理論上の話。実際の物事なら、回数を重ねることでスキルも高まるわけだから、前提となる成功確率1%も変わってくるだろう。くじけず挑戦を続ければ、成功確率を限りなく100%に近づけることができる、ということがわかってもらえたのではないかと思う。「努力は報われる」という格言は、確率的にみても結構的を射たものなのだ。

(石井敏郎)

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