知っておきたい親孝行&介護の作法 第12回

親の「お葬式」は誰のためのもの?

2011.11.07 MON


一般的な葬儀の種類には、仏式、キリスト教式、神式、無宗教式などがあり、さらに形式にとらわれない自由葬もある。亡くなった親と残された家族にとって一番いい弔いをしたいのが子の願いだ 写真提供/PIXTA
財団法人日本消費者協会が実施したアンケート調査によれば、葬儀にかかる費用の全国平均は231万円だとか。これが高いか安いかはわからないけど、どうせなら親自身に喜んでもらえるような、「いい弔い」をしたいのが子としての本音。

R25世代の僕らにはまだ想像しづらいけれど、誰にとっても「親が亡くなる日」は必ずやってくる。家族構成によっては喪主になる人もいるわけで、いつか“そのとき”がやってきたら、僕らは何を考え、どう対応すればいいんだろう?

「親が亡くなったときに最初に連絡する先は、一般的には葬儀屋さんです。彼らはプロですから、依頼すれば手続きを踏んで、葬儀に必要な段取りをほとんど代行してくれます。その意味では“世間並み”のお葬式を出すことは難しくありません。ただし、依頼者側にキチンとした準備がないと、形通りの決まりきった葬儀になってしまうため、『本当にこれでよかったんだろうか?』という気持ちが生まれやすいという問題があるんですよ」

と教えてくれたのは、葬儀にまつわる総合的な情報提供やカウンセリングを行っている日本葬祭アカデミーの代表・二村祐輔さん。

「その一方で、最近は『葬儀にお金なんてかけなくていい』と考えている高齢者が増えている傾向があります。実際に子に対して『葬式はいらない』と伝えているケースもあり、その結果として亡くなった病院から火葬場へ直行する“直葬”を選ぶ遺族も増加しています。通夜や告別式といった一般的な儀礼を省略してダイレクトにお骨にしてしまうので、経済的にはもっとも低コストです」

なんと! お年寄りといえば、お墓参りやお仏壇といった法事関係のアレコレを大事にするイメージがあるけど…。仮に親の希望でも、実際にそれを選ぶのは抵抗がありそう。

「そこが重要なんです。直葬の是非はともかくとして、どんな弔いをするかは『親の意見が20%、自分の意見が80%』で決めるべきです。亡くなった親の意志を100%尊重した結果、残された家族に納得できない気持ちが残るなら、いい弔いとはいえません。親の意志や葬儀屋さんのフォーマットに流されるのではなく、自分自身がどんな葬儀にしたいのかを考え、決断することが必要になるんですよ」

実際に親が亡くなったら、まずは遺体を病院からどこへ運ぶかを決断し、どの葬儀屋に依頼するかを決断し…と、短期間のうちに決めなくてはいけないことが山ほど出てくる。事前の準備がなかったら、混乱して流されてしまいそうだ。

「そのためにも、親が元気なうちに『親が亡くなった後のこと』についてキチンと話し合い、遺言状などの形で意志を残してもらうこと。それを踏まえて、どんな葬儀をするか自分自身で考えておくこと。この2点に留意すれば、自分と家族が納得できる弔いができるはずです」

孝行も介護も葬儀も、親のためだけにするものじゃない。最後の瞬間に悔いを残さないよう、自分自身が親とどう関わりたいか、素直な気持ちと行動で表したいものだ。
(呉 琢磨)

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