知ってるようで知らない「天候の不思議」/第12回

水不足解消? 人工降雨の仕組み

2013.07.16 TUE


天候が調整できるようになれば、確かに便利そうだけど、困る人も出てくるかも? 画像提供:マイザ/PIXTA
日本に住んでいるとあまり感じませんが、世界的に見ると水不足の問題は深刻らしい。たとえば、2003年に京都で開催された「世界水フォーラム」では、2025年までに世界中の人口の3分の2が水不足の問題に直面するという研究も発表されています。なかでも内陸部にある国はかなり危ういそう。そんな危機を目前に控え、人工的に雨を降らせ、水資源を確保しようとしている国もあるのだとか。

「現在、人工降雨に関するプロジェクトは約40カ国で年間100件以上行われています。そのなかでも日本の技術はトップレベルですよ」

と答えてくれたのは、気象庁気象研究所の村上正隆さん。具体的にどのような方法で人工的に雨を降らせるのでしょうか?

「ドライアイスやヨウ化銀などの物質を雨雲の中に散布し、人工的に微小な氷粒を生成して雪の成長を促進する“シーディング”という方法があります。地上付近が0℃より暖かいと融けて雨として降ってくるんです。こうした手法は人工降雨の研究がはじまった1946年頃に確立され、その後、効果を出しやすくするためにドライアイスの粒の大きさを均一化したり、ヨウ化銀に触媒となるものを混ぜたり、さらには飛行機やロケット砲を利用して雲の中に効率よく散布するようになりました。また、近年ではスーパーコンピューターを利用して雲の発生を予測したり、リモートセンサーで雲の状態を測定するなどして、ベストな状況でシーディングできるようになっているんですよ」

村上さんによれば、シーディングには「場所」「タイミング」「雲の状態」が重要だそう。特に雲の状態は、0℃以下になっても液体の状態を保持した水滴を十分に備えたうえで、さらに増加傾向にあるのが最適なのだとか。

でも、勝手に気象を操作することによってその分雨が降らなくなる地域が発生したりしないのでしょうか?

「その可能性は否定できません。しかし、風上でシーディングを行ったことで風下に降るはずだった雨が降らないなど極めて局地的な影響にしかならないでしょう。ちなみに、アメリカでは現実に起こりうる問題が議論になり、大多数の利益になるのであれば雨の減る地域があったとしても人工降雨を認める法律ができたんですよ」



ちなみに、人工降雨の技術は集中豪雨など人間に被害を与える気象現象を軽減する観点からも注目されているそう。実用化レベルに至るまでにはまだ時間がかかるようですが、いつか雨を自在にコントロールできる日が来るかもしれないですね。
(村上 広大)

※この記事は2012年7月に取材・掲載した記事です

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト