「企業は内部留保を取り崩せ」は誤解?

「内部留保」増でも僕らの給料は…

2013.09.05 THU


内部留保が積み上がる一方、給与は急降下…。会社が潰れるのは困るけど、少しはこっちにも回してほしいというのがサラリーマンの本音かも 図版作成/藤田としお 年収出典/平成23年民間給与実態統計調査
景気が上向いたなどといっても、今のところサラリーマンの給料に反映されるまでには至っていない。だが、一方で企業の利益剰余金、いわゆる「内部留保」は年々増え続けているという。財務省「法人企業統計調査」によれば利益準備金、任意積立金、繰越利益剰余金を合わせた内部留保の総額は約281兆円にも上る。こうした状況から企業は「利益を賃上げや雇用に回さずためこんでいる」との批判を受けがちだ。

上場企業約4000社の財務情報をデータベース化したウェブサービス「Ullet」を運営する西野嘉之氏は「近年は特に日本を代表するような老舗企業ほど内部留保を厚くしている印象。高度経済成長期に急成長したリーディングカンパニーの多くは成熟期または衰退期に入っており、売上も軒並み頭打ち。人件費を含め、なるべくコストをカットして利益をため置くことで生き残りを図るしかない厳しい事情もあります」と語る。

実際にUlletを使って平成24年度の純利益上位20社の内部留保を調べたところ、リーマンショック前より内部留保が増えた企業は16社。500億円以上増えた企業も8社におよぶ。しかし、そのなかで従業員の平均年収が増えた企業は3社のみ。逆に減った企業は13社に上る。内部留保は4年間で平均約375億円も積み上がっているのに、平均年収は約18万円のマイナス。確かに利益が従業員に還元されているとは言い難い状況だ。

「ただ、誤解されやすいのですが、こうした内部留保がすべて現金で残っているわけではありません。会計上はお金が余っているように見えても、実際にはその大半が設備投資などで吐き出されていることも多いのです」

そのため、安易に内部留保を取り崩せという論調は避けるべきと西野氏。とはいえ、実入りが減り続ける状態がこうも続くと、従業員にももうちょっと投資してくれよ、と言いたくなってしまうのだが…。(前田智行)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト