リーマン前の水準に戻っていないのは日本だけ?

日本の株価が上がらない理由

2013.10.25 FRI


世界経済に大激震をもたらしたリーマンショックから4年。欧州債務危機など、今なお不安材料はくすぶるものの、“経済を映す鏡”と呼ばれる株価は着実に回復していた。世界の主要な株価指標は、軒並みリーマンショック時の水準を大きく超えているのだ。マネックス証券のチーフ・ストラテジスト、広木隆さんはいう。

「アメリカ、イギリス、ドイツは当時から1~2割も高くなっています。東南アジアの新興国も同程度の水準です。欧州債務危機が大きく影響している国を除けば、株価はほぼ戻っているといっていいでしょう。アメリカやドイツに至っては、史上最高値に迫ろうかという勢いです」

こんななか、大きく出遅れているのが、日本だ。

「日経平均株価は、リーマンショック時の7割程度の水準。世界でダントツにひどい状態です。1990年につけた市場最高値3万8915円から見てみると、実に約2割。株価は5分の1になってしまっているんです」

どうして日本だけ、こんな状況なのか。

「株価というのは最終的には、企業業績で決まります。端的にいってしまえば、日本企業の稼ぐ力が弱いということです。株価収益率などの投資指標で見てみると、実は今の株価は妥当な水準と言わざるを得ないんです」

東日本大震災やタイの洪水など、不運にも見舞われた。新興国メーカーの台頭で、日本を代表する輸出企業が次々に苦境に陥った。こうした環境の変化もたしかにあるが、実は意外な事実があると広木さんは指摘する。

「日本企業の収益率の低さは昔からほとんど変わっていないんです。にもかかわらず、過去に株価があれほど上がってしまった。それ自体が、おかしいことだったんです。バブル崩壊で株価は下がりましたが、本当はもっと急激に下がらなければいけなかった。それを回避し、時間をかけて調整してしまった。それが、“失われた20年”の実相だったと私は見ています」

その代償は大きかったと広木さん。

「あまりに長期で調整されてきたために、日本株で成功体験を持てた人がほとんどいません。結果的に、機関投資家も、個人投資家も市場から離れていってしまった。世界における日本株の存在感も落ち、今やアジアのワンオブゼムの位置づけです」

世界には日本株のスペシャリストもほとんどいなくなってしまったという。

「しかし、一方で今の株価こそが日本の本当の実力であり、フェアな評価だと言えます。それだけに、今後はまさに企業の業績次第、という時代が来る」

企業が稼ぐ力さえ高まれば、株価は上昇に転じていくはず、ということだ。
(上阪 徹)

※この記事は2012年10月に取材・掲載した記事です

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