日本の家の平均寿命はたったの30年

日本の家の平均寿命が短い理由

2014.04.29 TUE


多くの人にとって生涯で最も高い買い物は家だろう。だからこそできるだけ長く住み続けたいところだが、日本の住宅は欧米諸国に比べてかなり寿命が短いことをご存じだろうか? 平成8年に国土交通省が試算したデータによれば、日本の住宅が平均築26年で建て替えられるのに対し、アメリカは築44年、イギリスは築75年。日本の住宅はなぜこんなに寿命が短いのだろうか?

「日本が高度成長を遂げた時代に住宅ローンが創設され、多くの国民が家を持つ時代に入りました。そうしたニーズを満たすために住宅の大量生産が求められるなか、安価で質の悪い資材を使った、質の悪い家も多く建てられ、結果として日本の住宅寿命が短くなるきっかけとなったように思います」(良質住宅促進協議会理事長の澤田升男さん)

では、澤田さんのいう “質の悪い家”とは、どんな家なのか?

「それは日本の高温多湿の気候を無視した間取り、工法、材質を用いた家です。もともと日本の家屋は石の上に土台がのる構造でした。それがコンクリートを基礎に使うようになったことで床下の通風しが悪くなり、床下材が腐る原因になりました。また、建物で一番怖い現象が『壁内結露』。多湿な風土では、空気中の湿度を調整する調湿効果のある材料を使用すべきですが、現在は壁内結露を起こしやすい工法が一般的になっています」

昭和初期までの住宅は自然素材を用いた職人による手づくり。その材料や工法も先人達の長い年月からの知恵と経験から、その地域に適したものが使用されていたという。例えば障子や木製の建具は、温度差があっても調湿機能があることから結露を起こしにくい。1400年続く正倉院をはじめ、古来の神社仏閣、古民家が長く存続しているのはこうした知恵の賜物といえそうだ。

「現在の日本の住宅寿命があまりにも短いことから、最近では『長期優良住宅(200年住宅)』という言葉もよく耳にします。国が推奨する条件を満たした家を建てれば、住宅ローン金利や税制面で優遇措置が受けられる政策です。しかし、200年住宅といっても決して『200年の間、手をかけなくてもいい家』ということではありません。200年もつのはせいぜい骨組みだけで、そのほかの部分はメンテナンスを繰り返す必要があります。また、工法や使用する材料にも制限があるため、たとえ家の長寿命化にとって優れた工法があったとしても、国が推奨していなければ使用しづらいというジレンマもあります」

結局、長期優良住宅を建てたとしても、きちんとメンテナンスをしなければ、リフォーム代やメンテナンス費用がかさんでしまう危険性もあるわけだ。でも、それは考えてみたら当たり前のことかもしれない。昔の人だって欧米人だって丁寧に修繕を重ねながら大切に住み続けてきたのだから。結局のところ、まずは建主が自ら知識を深め、ひとつひとつの材料や工法が家の寿命にどう影響するのか理解するのが大事なのかもしれない。
(榎並紀行)

※この記事は2011年11月に取材・掲載した記事です

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