あなたのそばにカビがいる!/第4回

カビとキノコは同じものだった!?

2014.05.23 FRI


体内にとりつき、増殖するキノコ、スエヒロタケ…なんて聞くと恐ろしいが、日本以外では食用にしている地域もあり、また抗がん作用のある物質を抽出できるというからわからないもんです 画像提供:渡辺 哲(千葉大学真菌医学センター)
カビを使った食品といえば、味噌やチーズが知られています。またカビの一つである酵母を利用して酒造りが行われているのも有名な話。このように、人は様々なカビを食品に利用しているわけですが、さすがにカビそのもの単体を食べるなんて話は聞いたことがありません。もしもそんな珍味の例があれば面白いと思うのですが、いかがでしょうか? カビに詳しい千葉大学真菌医学センターの渡辺哲博士!

「いえ、珍味もなにもカビ自体を煮たり焼いたりしたものを食べるのは、めずらしいことではありませんよ。それに、種類によってはありがたがって食べているのではないですか?」

確かに青カビチーズとか好きですけれど…カビ自体を煮て食べるなんて、身に覚えがないのですが…。

「実はこれ、キノコのことを言っているんですよ。糸状菌(カビ)、酵母、そしてキノコはすべて同じ仲間。学問的な分類ではなく見かけ上の姿で呼び分けられているに過ぎません。“キノコ”が胞子から菌糸を伸ばして増殖している間の姿は、もわもわとした綿のような状態、いわゆるカビの姿形をしていますが、特定の条件が整うと柄を伸ばし、傘をつけます。専門的には『子実体』といいますが、これが、キノコと呼ばれる“状態”なんですよ。さしずめ次世代の胞子を飛ばすために生殖器というところでしょうか」

ええ~っ。キノコがカビで、しかも生殖器だなんて、ちょっとショック。

「キノコが体内に生えることがある、ときけば聞けばもっとショックを受けるでしょうか? スエヒロタケという日本でも一般的に見られるキノコが人に感染することがあります。といっても、体内はこのキノコにとって本来好ましい場所でもないので、キノコの形になってにょきにょき生えることはありませんが。それでも気管や肺などで増殖すれば肺炎の症状を引き起こします。まれに気道(気管支など空気の通り道)に棲み付いてアレルギーを起こすこともあります。ただ、感染の危険があるのは免疫力が低下している時だけですし、そもそもふだん食用にしているシイタケ、エノキなどが感染することはありませんので、そこはご心配なく」

よかった、マリオに負けないくらいキノコ好きなんですが、とりあえずふだん食べる分にはなんの問題もないようです。ちなみにほとんどのキノコは人工的に培養することはそれほど難しくないとのこと。ただ人工栽培技術が確立しているシイタケやエノキと違い、マツタケなどは“キノコの状態”になる条件を人工的に作るのが難しいだけなんですって。まあ、その「だけ」の壁が相当大きいのでしょうけれどね。

(宇都宮 雅之)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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