身体にまつわる都市伝説 第197回

「腰が抜ける」ってどういう状態?

2014.04.28 MON

身体にまつわる都市伝説


“腰を抜かす”とは、激しい情動が自律神経に影響を及ぼして全身を脱力させる状態を、秀逸な比喩で表した言葉なのだ 画像提供/PIXTA/マイザ
腰を抜かす、という言葉がある。マンガやアニメなどでよく見かける、何か大きなショックに見舞われた人が、その場にへたり込んでしまうあれだ。これ、絵的な見せ方を考慮した、演出の一環という気がしなくもないが、実際に絶大な恐怖を味わった際、下半身から力が抜けていってしまうような感覚を覚えることは確かにある。

まさか、物理的に腰骨が一時的に抜けてしまうようなことはあるまいが、そもそも「腰が抜ける」ってどういう状態なのだろう? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「過剰な恐怖や怒り、激しい動揺など、一定の許容量を超えた情動興奮が自律神経に作用し、人の体を脱力させることは大いに考えられます。“腰を抜かす”とはまさしくそういった状態を比喩的に言い表したものでしょう。ただしこの場合、言葉の通りに下肢だけが力を奪われているわけではなく、上半身を含めた全身に影響を受けていると考えるのが道理でしょう。昔の人があえて“腰を抜かす”と表現したのは、全身が脱力すると体を支えている下半身から崩れ落ちることになりますから、その印象を受けてのことでしょうね」

自律神経が大きく変調をきたすと、全身の脱力感を感じるような事がある。これが、いわゆる腰を抜かした状態である可能性が高いと須田先生は解説する。実際に「腰が抜ける」わけではないが、ショックでそう見えることはあるわけだ。

「ちなみにこの場合は、全身あまねく脱力しているわけですから、映画やドラマのように、腰を抜かしても腕の力だけで這って逃げようとするというようなことはありえないでしょうね」

なお、こういう状態に陥ってしまった場合は、「とにかく気分を落ち着けることが第一」と須田先生。慌てず深呼吸をして、体の機能を取り戻そう。
(友清 哲)

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