「70歳定年制」は不可避? でも仕事はある?

もらえる年金、現在賃金の○割!?

2014.07.03 THU


「高齢者就業が拡大すると年金受け取りが大きく改善する」と示した厚労省。ただ、一般にはあまり話題になっていない 撮影/今井康一 『週刊東洋経済』毎週月曜発行 現在発売中の特集は「得する年金」 定価690円(税込)
6月3日に厚生労働省が公表した公的年金の財政検証の結果は、衝撃的な内容だった。財政検証は5年に1度行われ、様々なケースを想定しながら将来受け取れる年金水準を試算するもの。今回の検証では、労働参加率や運用利回り、実質賃金の伸びなど、楽観シナリオから悲観シナリオまで8つのケースで試算した結果が示された。

世間の注目が集まったのは、低成長な経済を前提とした3つのケース。この場合、将来給付水準(所得代替率)は、政府が下限と定める5割を下回った。所得代替率とは現役世代の手取り賃金に対する年金給付の割合のことで、2014年度見込みは62.7%だ。ただし、一定の経済成長や労働参加率が確保できなければ、将来の所得代替率が5割を維持できないことは前回財政検証と同じで“想定どおり”。最も悲観的なシナリオでは、何もしなければ将来の所得代替率は35〜37%と5割を大きく割る見込みになった。

本当に衝撃的だったのは、今後の法改正に向けた「オプション試算」の内容のほうだ。特に、基礎年金保険料の拠出期間を現行の40年から45年に延長し、個人選択制の繰り下げによって受給開始年齢を66歳以上(標準は65歳)にした場合の試算に注目が集まった。最も悲観的なシナリオでも、年金保険料の拠出期間を5年延長すると、所得代替率は47.9%にハネ上がる。さらに受給開始年齢を66歳に繰り下げると52.5%、以降、67歳57.2%、68歳61.9%、69歳66.8%、70歳71.7%という内容だ(自動給付削減機能のフル発動も同時実施という前提)。

最悪の経済状況が長期間続いても、将来世代が68歳以降まで働くことのできる環境があれば、現在の高齢者と同等以上の年金受け取りが可能ということだ。「そんな年まで働きたくない」という意見もあろうが、少子高齢化の厳しい現実を前にどう受け止められるだろうか。
(野村明弘/『週刊東洋経済』)


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