ウジにヒルにハチまで…

医療用ウジ虫「マゴット」大活躍!

2014.09.01 MON


マゴットセラピーに用いられるヒロズキンバエの成虫。治療には、無菌の状態で育成された幼虫が使われる
足湯につかり、「ドクターフィッシュ」という魚に不要な皮膚の角質を食べさせるというサービスが以前話題になった。ネットなどで調べてみると、ほかにも医療のために一役買っている生き物がいるようで、ハエの幼虫・ウジを生かした「マゴットセラピー」なるものを発見。いったいどんな治療なのか? 日本医科大学付属病院再生医療科の部長を務める、マゴットセラピー研究会の宮本正章氏に聞いた。

「マゴットセラピーとは、医療用のウジ、『マゴット』が、『潰瘍(かいよう)』や『壊疽(えそ)』と呼ばれる深刻なダメージを負った傷口の腐敗した組織だけを食べ、その部分をキレイに取り除き、傷の修復を早める治療法のことです。特に、日本医科大学付属病院には足の切断を迫られた患者も多く集まってきますが、この治療法を施したなかで8割以上が切断を免れています。また、マゴットが出す分泌液の中には殺菌作用や、組織の再生を促す物質が含まれており、従来の治療にはない効果を発揮。日本では2004年に導入され、マゴットセラピーを受けた患者数はすでに全国で500人を超えているようです」

気持ち悪いけど、足を切らずに済むのなら自分がその立場でも背に腹は代えられないかも。さらには、山や水辺に棲息するヒルの仲間に、患部の血を吸わせる治療法まであるようだが、どんな治療法? ヤマビル研究会の谷重和氏に聞いてみた。

「切断された指、耳などの再接着手術の際、医療用のヒルに再接着された指や耳から血を吸わせることで、患部に血が溜まるうっ血や、血が固まって塊ができるのを防ぎます。結果、静脈の血流を回復させることで、再接着の成功率を上げるという治療法です。ヒルから分泌される『ヒルジン』という、血液を固まらせない成分が治療に役立っており、血行障害や肩こりなどにも実績があります。この治療法は現在、防衛医大や東京女子医大をはじめとする総合病院で、週に1、2回程度行われているようです」

ほかにも韓流ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』の第14話にも登場した、「ハチ療法」という、ハチに皮膚を刺させて、ハチの毒を治療に役立てるケースも存在。こちらは病院で行われる治療ではないが、国内でも一部の鍼灸師、養蜂家などが行っているようだ。害虫扱いされる生き物も、人の役に立っている場面がたくさんあるとは驚きですね。
(伊藤 裕/GRINGO&Co.)

※この記事は2010年10月に取材・掲載した記事です

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト