VDTの症状を防ぐには?

PC用の「中距離メガネ」活用法

2014.10.23 THU


メガネを作る際のポイントとして「瞳孔間距離(左右の黒目と黒目の距離)を表す『PD値』の調整も大事。遠くのモノを見るとき、瞳孔はまっすぐ前を向きますが、近くのモノを見るときは若干“より目”の状態になるため、この距離が数mmほど内側にズレるんです。レンズの中心から外れた部分で見ることになって疲労につながります。PC用やスマホ用のメガネは、PD値をやや狭く調節して作るといいでしょう」と古屋さん
筆者は普段コンタクトレンズを常用しているが、長く着けているとドライアイになるため、適度にメガネも併用している。しかし、仕事が忙しいときにメガネをかけて長時間のPC作業をしていると、決まって発生するのが「肩こり&頭痛」の症状だ。目を休めようとしてメガネを使っているのに、逆に体調が悪くなってしまう。これって一体どういうこと?

「人間の眼は、見たいモノとの距離に応じて眼球内の水晶体を膨らませることによってピントを調節しています。長時間のPC作業は、この“調節力”を強く使い続けることになり、『VDT症候群』と呼ばれる眼の疲労や体調不良の原因になるんです。コンタクトレンズが楽でメガネだと疲れるというのは、左右の眼の視力差が大きかったり、乱視が強い人に多い傾向ですね」

そう語るのは、日本初のメガネレンズ専門店「れんず屋」の古屋和義さんだ。話によれば、メガネによる眼精疲労の根本的な原因は「ピントが合っていないこと」にあるという。

「PCやスマホの普及によって、我々の生活は“近くのモノ”を見る時間が圧倒的に増えました。PCの画面なら50~60cm、スマホなら20~30cmくらいの距離のものを見続けているわけです。しかし、一般的な完全矯正のメガネ(最も遠くが見えるように視力を調節したメガネ)というのは、5m~無限遠にピントが合うように作られています。そのため、近いモノを見るときには“見えすぎ”の状態になり、調節力がより強く必要になってしまうんです」

つまり、普通に作ったメガネで近くのモノを見続けていると、ずっと“調節力”を使うため疲れてしまうというわけだ。

「車の運転をするときなどは、最低でも0.7以上の視力が出るメガネを使う必要がありますが、PC作業をするなら0.5程度で十分。スマホや読書ならさらに低くて良いでしょう。日常生活のすべてのシチュエーションを1本のメガネで賄うのではなく、距離に応じてメガネを使い分けるのがベストです。PC作業用には、50cm前後の中距離が最も楽に見える度数に合わせたメガネを用意するべきですね。最近では眼の調節機能をサポートしてくれるレンズも各社から登場しています」

PCの普及によって、「中距離用メガネ」のニーズが生まれだしたのは10年ほど前からだとか。一般的なメガネ屋さんでも、「PC用」「スマホ用」というふうに用途を説明すれば、それに合わせた度数に調整したメガネを作ってくれる。

メガネは「よく見えれば見えるほどいい」と思っていたけれど、そう単純なものではないようだ。メガネユーザーでPCやスマホが手放せない人は、ちゃんと見る距離に合わせたレンズを入れるのが正解ですよ。
(呉 琢磨)

※この記事は2013年10月に取材・掲載した記事です

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