先行き不安な時代とはいえ

将来設計 住宅購入前にどこまで?

2015.01.23 FRI

住宅ローンを組む際は、老後資金の準備も考えた返済計画を立てるようにしたいものです。そのためにも、年金制度の基本を知っておきましょう。

住宅ローンを利用してマイホームを取得する際、比較的多くの人が30年や35年といった長期のローンを組む傾向にあります。

定年退職など、リタイアを迎えるまでにローンの返済が終了するよう返済期間を設定するのが理想ですが、毎月の家計収支の状況などを理由に、返済終了が60歳を超えるような期間設定をしてしまう人も多いようです。

それでも、途中で繰り上げ返済などを行うことで、最終的な完済時期を前倒しして、なんとかリタイア前に返済が終わるのであれば、大きな問題にはならないでしょう。

しかし、リタイア後の生活を考えた場合、ローンの返済と並行して老後資金の準備を行っていくことが欠かせません。

というのも、老後の生活を根底で支える公的年金が、近年、ますます期待できない状況になりつつあるからです。今回は、ローンを組む前に最低限知っておくべき公的年金制度の基本的なポイントについてまとめたいと思います。

現在の日本の年金制度には、まず、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入を義務づけられている国民年金(基礎年金)があります。

国民年金は、20歳以上の学生や自営業者などが「第1号被保険者」として平成21年度は毎月1万4660円の保険料を支払っています。サラリーマンや公務員の場合は「第2号被保険者」として、厚生年金や共済年金の保険料と一緒に支払っています。そして、サラリーマンや公務員の妻など(年収130万円未満の被扶養配偶者)は「第3号被保険者」として保険料負担はありません。

国民年金の受給資格期間は「原則25年以上」と決まっており、これを満たして加入していた人は、65歳から老齢基礎年金を受け取ります。平成21年度価額では、満額(40年間保険料を支払った場合)が年間79万2100円です。

さらに、サラリーマンや公務員の場合は、これの上乗せとして厚生年金や共済年金があります。厚生年金や共済年金は、働いていた期間の収入に応じた年金額になるので、人によって金額に違いはありますが、原則65歳から老齢厚生年金や退職共済年金を受け取ることになります。老齢厚生年金のケースでは、1カ月あたり10万円前後が平均的水準のようです。

ちなみに、現在は、経過措置で60歳代前半に一部の年金額(特別支給の老齢厚生年金など)を受け取れるようになっていますが、生年月日に応じて受取開始年齢が引き上げられるようになっており、昭和36年4月2日以降に生まれた人(厚生年金加入者の女性だけ昭和41年4月2日以降に生まれた人)は、原則65歳にならないと年金が支給されないということが確定しています。

したがって、一般のサラリーマン世帯(妻は専業主婦)ですと、現在でも65歳以降に受け取れる年金額は夫婦合計で1カ月あたり23万円程度といわれていますので、その金額でリタイア後の生活を維持していくことが困難なのであれば、その不足額を事前に準備しておく必要があるわけです。

ましてや、現在20代30代といった若い世代ほど、将来の年金額がいまと同じような水準を維持できるかどうかに疑問符がつきます。そもそも日本の年金制度は世代間扶養で成り立っています。若い世代の支払った保険料が、高齢世代の年金額として支給されているわけです。少子化や高齢化が止まらなければ、現在の制度を維持すること自体が困難だといわれます。そういう意味では、若い世代ほど、受取年金額は今後減らされていく可能性が高いと認識しておくべきだと思われます。

企業によっては、企業年金などで厚生年金の上乗せとなる制度を用意しているところもありますが、企業年金があるから大丈夫だと断定できるわけでもありません。やはり、老後にゆとりのある生活を送りたいのであれば、住宅ローンを組む段階で、ある程度リタイア後の生活もイメージし、老後資金の準備に支障をきたさないような資金計画を立てることが重要だといえるでしょう。
(ファイナンシャルプランナー菱田雅生)

※この記事は2012年06月に取材・掲載した記事です

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