身体にまつわる都市伝説 第142回

睡眠学習って本当に効果あるの?

2015.03.24 TUE

身体にまつわる都市伝説


睡眠は記憶を定着させる大切な役割を担っているが、睡眠中に新しく高度な学習を行うことは困難。それならば、しっかりと睡眠をとって脳のコンディションを整えたうえで勉強に励むのがよさそうだ 写真提供/PIXTA
仕事で必要な資格の取得を目指したり、あるいは語学力を磨いたり、社会人になってもまだまだ勉強とは無縁ではいられない。むしろ、20~30代のうちにどれだけスキルアップできるかが、将来を分けるといっても過言ではないだろう。

しかし、仕事と勉強の両立はなかなか大変。もし、寝ている間に必要な知識を暗記できる「睡眠学習」が本当に有効なら、これほど楽なことない。睡眠学習の実際の効果について、オスロ大学心理学部の末神翔先生に聞いてみた。

「たしかに睡眠学習は夢のような学習方法ですが、これは少なくとも今のところ、“睡眠中に耳から情報を入れるだけで、翌日のテストはバッチリ”という類のものではありません」

やはり、そうそうウマい話はないようだ…。ただし末神先生によれば、睡眠と記憶が密接にかかわっているのは事実だという。

「睡眠が、学んだ情報を記憶として“定着”させる重要な役割を担っていることは、様々な実験から示されています。しかし、睡眠中に聞いた情報が何でもかんでも定着するわけではありませんし、まして寝ている間に複雑な知識を新しく学習できるかというと、それは難しいといわざるを得ません」

近年発表された論文のなかには、睡眠中の脳の働きについての興味深いデータがあるという。睡眠中に心地よい香りと不快な香りを、それぞれ異なる音とともに繰り返し嗅がせると、人は寝ながらにしてその香りと音の組み合わせを記憶するというのだ。

「ただし、香りと音の組み合わせという単純な条件付けは、睡眠学習に興味を示す方が望むような、高度な知的情報とは別物。たとえば睡眠学習で外国語を身につけようとした場合、“耳を慣らす”程度のことは可能かもしれませんが、外国語を学ぶには“音を聞き分ける”だけでなく、意味や文法など高度な処理が必要な学習も併せて行う必要があります」

さらに末神先生は、睡眠中の時間をこうした“学習”にあてることで、睡眠の質が下がり、かえって逆効果になってしまう可能性もあると指摘する。やはり、勉強は起きている時間にコツコツ頑張るしかなさそうだ。
(友清 哲)

※この記事は2013年3月に取材・掲載した記事です

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