昔ながらの憩いの湯が、劇的な変身を遂げた!

都内の「デザイナーズ銭湯」5選

2015.04.24 FRI


「千駄木ふくの湯」 浴場は週毎に変更。一方はモノトーンを基調とした落ち着いた色合い、一方はブラウンとホワイトを基調としたナチュラルテイスト 写真/石橋マサヒロ、協力/今井健太郎建築設計事務所
大人450円。これは、東京の銭湯入浴料だ。東京都公衆浴場業生活衛生協同業組合のホームページによると、都内の銭湯は昭和43年の2687軒をピークに平成22年4月時点では約800軒まで減少しているとのこと。後継者不足や燃料費の高騰などで、厳しい状況が続いているのだ。しかし、生き残りをかけて工夫をしている銭湯は多い。なかでも、最近、話題になっているのが「デザイナーズ銭湯」だ。

「デザイナーズ銭湯」とは、建築家がデザインして、外観や内装、浴室にこだわった銭湯のこと。古くからの銭湯をリニューアルしたものが多く、アーバンテイストのモダンデザインもあれば、昔ながらの雰囲気を生かしたレトロ調も存在し、そのデザインは様々である。

昭和47年創業の老舗「千駄木ふくの湯」は、和モダンな雰囲気が魅力だ。入り口から番台・脱衣所までは木材を多用しており、温泉旅館のような雰囲気。レトロな雰囲気を漂わせる照明と相まって、懐かしさを感じさせる。浴場に入ると目に飛び込むのは、立派な富士山のペンキ絵。また、男女の浴場を分ける板張りには、それぞれに大黒様と弁天様が描かれている。1人で入れる壺湯も楽しみのひとつだ。

40年以上前から戸越で親しまれてきた「中の湯」は、「懐かしくも新しい銭湯の姿」を目指して「戸越銀座温泉」の名でリニューアル。見所は、男女それぞれの浴場にまたがる富士山の絵。入浴しながら見られるように浴槽の反対側に描かれている。片方は伝統ペンキ絵師、もう片方は現代美術作家が描くことで、「懐かしさと新しさ」を表現しているという。また、浴場は上下階にわたっており、上階にある、光をたっぷりと取り込む半露天風呂もうれしい。

「湊湯」は中央区にあるアーバンテイストな銭湯。黒漆喰を思わせる入り口は老舗料亭のような貫禄だ。木の温もりを感じさせるロビーを抜けると、LEDによって水滴が光る幻想的な回廊が出迎えてくれる。浴場は、モダンな黒石タイプと温かみのある木目調タイプ。黒石タイプの浴場は、まるで洞窟のなかで湯に浸かっているような独特の雰囲気を味わえる。

品川区の「天神湯」は「湊湯」の姉妹店。待合ロビーには、実際の水を使った滝の壁と坪庭を配置。モダンななかに和の雰囲気を醸し出す。浴場は2階だが、バリアフリー設計やエレベーターの設置で、高齢者などに使いやすい配慮も。肝心の浴場は、様々な種類のタイルを使った高級感のある趣。間接照明を多用することで、落ち着いた印象を受ける。

「南青山 清水湯」は、100年以上の歴史を誇る超老舗。清潔感のある白を基調とした浴場のタイルは、女湯はスペイン製、男湯はイタリア製というこだわり。レインシャワーには、世界のラグジュアリーホテルでも使われているドイツ・グローエ社製を採用。大口径から均質に湯が降りそそぎ、使い勝手も申し分ない。街の銭湯というよりもスパのような贅沢さだ。

4月26日はよい風呂の日。昔ながらの銭湯のイメージしかないあなた。たまには、最新のデザイナーズ銭湯まで足をのばして、ゆっくり疲れをとってみてはどうだろうか。
(笹林司)

※この記事は2014年4月に取材・掲載した記事です

  • 「戸越銀座温泉」

    浴場は、白を基調とした明るい雰囲気の「陽の湯」と黒を基調としたシックな雰囲気の「月の湯」が日替わりで楽しめる
    写真/石橋マサヒロ、協力/今井健太郎建築設計事務所
  • 「湊湯」

    浴槽内の電極間に微弱な電気が流れる「電気風呂」や超微細気泡の「シルク風呂」など、浴槽の種類の多さも魅力のひとつ
  • 「天神湯」

    リニューアル前のボイラー室のレンガ色を用いた外観が特徴的。待合ロビーは、木、石、水を使い「和モダン」のデザインで統一している
  • 「南青山 清水湯」

    ジェットバスや高濃度炭酸泉、シルク風呂、別料金のサウナはコンフォートサウナ、ロッキーサウナなど、種類が豊富なのも魅力

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