通常の公演ではありえない近さに大人も思わず感激

0歳でもOK!楽しみ方から教えてくれるクラシックコンサート

2016.11.22 TUE

格好いいパパに!オトコの子育て道場

「Concert for KIDS~0才からのクラシック(R)」
画像提供:Sony Music Foundation
子連れでの芸術体験として、とりわけハードルが高いのがクラシック音楽の鑑賞。基本的に座りっぱなしで飲食禁止、食べ物でなだめるわけにもいかず、騒ぎ始めたからといって外に連れ出すのも、それ自体が迷惑になるし…。

そう考えると、クラシックコンサートなんてとても行けそうにもない気がします。しかし、子供のために企画されたコンサートもちゃんとあるんですね。

1999年から始まったという、公益財団法人ソニー音楽財団が主催・企画制作する「Concert for KIDS」は、そうした子供向けのコンサートの草分け的存在。公演時間が1時間と短め、なにより「0才からのクラシック(R)」と銘打っているぐらいで、子連れでも大手を振って(?)芸術体験ができるのです。

「財団の設立が1984年、その翌年から妊婦さんを対象とした『0才まえのコンサート(R)~ママのおなかは特等席~』という企画を始めました。その際に来場いただいたお客様から『生まれてきた赤ちゃんとも、一緒に楽しめるクラシックコンサートを企画してほしい』という要望が多く集まりまして。それから演奏会の長さ、授乳室やバギー置き場などのハード面の整備など来場者のアンケートを参考に何度もトライアルを重ね、1999年に現在の形の『Concert for KIDS』が誕生しました」(Sony Music Foundation企画制作の高堀さん)

おおよそ年間で10公演、全国各所のホールで開催されている「Concert for KIDS」。そこで11月10日に横浜市の青葉区フィリアホールで行われた「Concert for KIDS ~0才からのクラシック(R)」に実子(3歳・女児)を連れてお邪魔してみました。

■0歳児も楽しめるクラシックコンサートってどんなもの?


6曲目では客用の出入り口から、トロンボーン奏者が突如登場
画像提供:Sony Music Foundation
まずは1曲目、オペラ・椿姫より「乾杯の歌」の演奏、といっても演奏は正味3分ほどで終了。どの曲も3~4分程度に収まるように編曲されており、小さい子供を飽きさせないようにしている模様。

2曲目では、子供も手を叩いて演奏に“参加”する仕掛けがあり、3曲目ではソプラノ歌手が客席の間を通りぬけながら歌う…。こうして、子供を飽きさせないための工夫をちりばめつつコンサートは進みます。どんなコンサートに行っても客席の真隣で、プロの演奏が聴けることはまずないわけで、これは大人にとっても嬉しい演出です。


左・ホルンの仕組みを説明しているところ/右・ヴァイオリンの弓が馬の尻尾の毛で作られていることを説明しているところ
画像提供:Sony Music Foundation
さらに、それぞれの曲でメインとなる楽器については随時、説明が入り、それは大人が聞いても興味深いもの。ホルンに至っては、演奏家自らがホームセンターで買ってきたというホースとジョウゴを使ったDIYホルン(もどき)で構造を説明。そのわかりやすさと、実際にちゃんと鳴った音に大人からも感嘆の声があがっていました。

そんななかであっても、子供の様子はさまざま。大人しく見ている子もいれば、グズグズ言う声、泣き声もあちらこちらであがっており、ふと隣のお子さんを見るとすやすやと寝ていました。なんて贅沢な子守歌!


子供にもわかりやすいパンフレット。保護者だけでなく、子供にもちゃんと1部手渡しされる
筆者撮影
一方、3歳の我が子は中盤あたりでは椅子の上でそっくり返り「のど渇いた」だの「いつ終わるの」だの、やはりグズグズ。映画であれば、ジュースでも飲ませて黙らせるところですがそれが出来ないのがコンサートのつらいところです。まあ、後半にあった「童謡をいっしょに歌いましょう~」のくだりで持ち直しましたが。

なお、さらに会場内をよく見たところ、どうやらウチと同じくらいの「悪魔の3歳児」と思われる小さい子が目立ってぐずっていました。それ以下の「赤ちゃん」はニコニコして曲に反応していたり、ステージを見つめていたりと、しっかりと鑑賞していることが多かったように思えます。

「乳離れもしていないから、さすがに周りに迷惑かも」なんて思っている親御さん、今ですよ、初めてのコンサートに連れて行くなら。

さて、全13曲が終わり舞台そでに一旦は下がった演奏者が、普通のコンサートではありえない早さで再登場。「アンコールにしては、異様に早い」と妙に思ったのですが、アンコールとはどういうものなのか、その説明があったことで納得。つまり、このコンサートにおいてはアンコールまでが主演目、「コンサートを楽しむためのお作法」を始まりから終わりまで教えてくれる構成になっているんですね。なんかすごい。

アンコールを含めたすべての演目が終わり、席を立ってみれば「もう終わっちゃったの?」などと、今更ながら物足りない様子を見せたわが子。途中にグズグズを挟んだものの、彼女なりに楽しんだ模様。


■子供の成長も実感できるクラシックコンサート


リズム遊びに楽しく参加する子供たち
画像提供:Sony Music Foundation
しかし、これまでにも数多くの公演があったこのコンサートの魅力を、たった1度の鑑賞では説明しきるのは困難。そこで、冒頭でご説明いただいた高堀さんに改めて、「Concert for KIDS」の特徴を聞きました。

「選曲、構成など小さなお子さんでも興味を持てるよう心がけていますが、しっかり音楽を聴いていただくため、着ぐるみやかぶりものを使った演出はしていません。また、アニメ曲を演奏することもないですね。クラシックコンサートであることを踏まえ、生で聴いていい気持ちになったり、ドキドキワクワクしたりと好奇心が育つような曲を中心に選んでいます」

同じ会場でも、けっこうな頻度で開催されているようです。内容はどの程度変わるものなのでしょうか?

「楽器の編成は毎回変えていますし、曲も入れ替わるのでなんど来ていただいても新鮮な気持ちで楽しんでいただけるかと。また、あえて同じ曲も数曲入れていますので、好きな曲や興味のある楽器もわかってくると思います。このコンサートが、お子さんと時間を共有し成長を見守っていただくことに役立てれば幸いです」

なお、「Concert for KIDS」の2017年の予定を聞いたところ、3月に2公演、4月以降も2カ月に1~2回のペースで開催していくという。幼いうちから、本物に触れさせた方がいいといいますしね。こんなコンサートで、初めてのクラシック体験を済ませてみてはいかがでしょうか。
(宇都宮雅之)
  • クラシックコンサートだからと、気張った格好でなくても大丈夫。筆者親子含め、カジュアルな格好の人が多くいましたから。筆者撮影

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