職場と近い家を選ぶ人が増加中!?

中央、千代田、新宿…人口増減率アップの要因は?

2017.03.13 MON


大規模マンションが立ち並ぶ湾岸エリア。東京の東側エリアへのアクセスが抜群
写真提供/恵七 / PIXTA(ピクスタ)
今年初め、東京都中央区の人口が55年ぶりに15万人に達したと報じられた。働きに出るだけの「住みにくい」都心から、家々が集まる「住みやすい」都心に変貌を遂げたということだろうか。その背景を取材した。

まず、総務省の「【総計】平成28年住民基本台帳人口・世帯数、平成27年度人口動態(市区町村別)」から、人口の増加傾向を表す増減率の高い自治体を調べてみた。すると、東京23区では中央区が3.55%と最も高く、続いて千代田区(2.99%)、新宿区(1.98%)、豊島区(1.86%)、品川区(1.62%)となっている。そこで、上位3区に人口増加に影響する取り組みの有無を問い合わせた。

●中央区
定住人口の回復を目指した、住環境の整備を中心とする総合的な政策の結果が出ている。区立住宅では入所世帯の所得金額に応じて家賃を設定する「応能家賃制度」を導入し、35歳未満の世帯などを対象に優遇倍率も適用。同時に区立住宅の戸数増加や民間開発の住宅誘導も行った。

●千代田区
「住環境の整備、子育て支援施策の充実、高齢者介護施策の推進」を区としての目標に掲げている。住みやすい街づくりが実現する過程で、マンションの建設など「民間による大規模な住宅開発」も好影響を及ぼした。

●新宿区
近年の人口増は、主に若年層を中心とした転入者数の増加によるもので、通勤や買い物の便利さなどが新宿への居住意向につながっていると考えられる。大規模マンションが建設されているのは都心の他区と同様である。区では安心できる子育て環境の整備や健康寿命の延伸、高齢者地域包括ケアシステムの構築、女性や若者が活躍できる地域づくりなど、誰もが暮らしやすい街を目指している。

自治体によって人口増の要因分析は様々なようだが、確かにどの地区も大規模なマンションが続々と開発されている印象はある。この点について、リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長の池本洋一氏に話を聞いた。

「中央区は、勝どき、月島、晴海という湾岸エリアが人口増加の基盤です。以前は倉庫街でしたが、マンションの開発と共に商業ビルなども開発され、住みやすい街になっていきました。また、京橋、八重洲、日本橋という東京の東側エリアを中心にオフィスビルの開発が進んでおり、“職住近接”の志向性の高まりもあって人気を集めています」

職場と自宅が近ければおのずと通勤時間は短縮され、通勤混雑によるストレスも軽減される。家事育児を含め、会社での業務以外に使える時間が増えるため、職住近接志向は「ワークライフバランス」が叫ばれる時代にマッチした考え方というわけだ。

「また、千代田区では子育て支援に加え、飯田橋や市ヶ谷を中心にマンション供給が増えました。のちの売却も含めて“資産価値”に目を向ける人もいるでしょう。新宿区は、区の分析通り、大規模マンションの影響が大きいはずです。2015年には富久町に総戸数1000戸超えのマンションができました。1戸につき平均3名が入居すると想定されるので、住民増の一因と思われます」

これらのほか、池本氏は「人々が暮らす場所のニーズが“憧れの街”から“等身大の街”に少しずつ変化していることは見逃せません」と分析する。

「たとえば、4番目の豊島区は都心にほど近いエリアですが、物件価格や家賃が比較的リーズナブルです。中野区なども同じで、限られた家賃で住める割には都心に近くて便利だと人気を集めています。利便性×家賃、利便性×物件価格で合理的な場所を選ぶ傾向が出てきています」

人口増減率が高くなる要因は、人々の志向の変化とそれに対応する自治体や民間企業の努力があってのよう。来年以降も都心志向は続くのか、推移も見守りたい。

(飯田樹)

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