人間の「便」からわかるカラダの不思議

腸内細菌のゲノム解読が進むとどんな病気が予防できる?

2006.01.12 THU

人の体には、たくさんの細菌が共生しているって知ってますか?

なかでも、腸のなかにすみつく微生物は「腸内細菌」といわれ、ひとりあたり重さにして、なんと約1キログラムに相当する。

その数も半端じゃなく多い。人間の便1グラムあたり、10億個~1000億個もの腸内細菌が存在し、種類は100種類以上にのぼる。人間の便の3分の1は、腸内細菌か、その死がいの重さだといわれている。

ランキングに示したように、この腸内細菌が私たちの体に及ぼす働きは多岐にわたる。病原性の細菌と違い、免疫で退治されず、逆に腸のなかの免疫力の活性に役立ち、私たちの健康と切っても切れない関係にあるとされている。人によって種類や数が異なり、その違いが病気に関係するともいわれるが、現時点ではまだ解明されていない。

現在、人の腸や皮膚、口腔などにすみつく細菌のゲノム(全遺伝情報)を国際協力で解読する「メタゲノム解読プロジェクト」が計画されているが、なかでも人の健康に結びつく重要分野として注目されているのが、人の便から腸内細菌の仕組みを解明する計画だ。たくさんの人から便のサンプルを集め、性別や年齢、病気の種類、生活様式などの影響についても調べる。

昨年10月にはパリで計画の指針を決めるための国際会議が開かれ、日本、米国、欧州、中国などから関係者が集まって計画の内容を固めた。会議に参加した北里大学の服部正平教授を中心に、日本でも複数の研究機関が準備を進めている。

研究が進めば、腸の免疫システムの仕組みがわかったり、効きやすい医薬品・健康食品の開発、病気の予防にもつながるといわれている。アレルギーや感染症などの病気の仕組みが明らかになる可能性もある。

たかが便とあなどるなかれ。そこから、私たちの健康にかかわる、ノーベル賞級の発見があるかもしれないのだ。

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