身近なトラブル対処法

第12回 幽霊は僕らの味方なのか!?

2009.05.11 MON

身近なトラブル対処法


自殺や殺人の現場になった物件は「事故物件」として、相場よりも安い家賃で借りられることがある。今回の記事を執筆するにあたって、当時住んでいたアパートを訪れてみると、人が住んでいる気配はなし。廃墟化が進んでいました。一体何があったのか…

不動産×幽霊の関係はトラブルのもとになる!?



大学生の頃の話です。当時、仕送りなしのバイト生活で自活していたボクは、家賃の安さにひかれ、とある駅の風呂なしアパート(築40年もの)を探し出し、住んでいました。

フツーに住み始めて2年ほど経った、ある夜のことです。「ガタン!」と、押し入れ上の天袋から、ものすごい音がしました。そう、何かが天井上から落ちてきたような鈍い音でしたね。

脚立を持ってきて、おそるおそるのぞいてみると、経年劣化した天井板を突き破り、大きな風呂敷包みが天袋に落ちかかっているじゃないですか!

さては、前の住人が残した隠し財産か!? とワクワクしながら風呂敷を解いてみると。

それは「骨壺」でした。

隣に住んでいる大家さんに駆け込んだところ、その部屋には以前、老夫婦が住んでいたことがわかりました。

一体そこで何があったのか? 詳しく聞くのはやめておきました。だって、2年以上も住んでたんですからね、ボクは!

協議の上、敷金と当月の家賃を返してもらい、3日後には引っ越すことになったわけですが、もしボクに霊感があったりしたら、何か見えたんでしょうかね? そういえば最近、幽霊にまつわるトラブルで訴訟沙汰、なんてニュースを見たような。弁護士の田中喜代重さんに聞いてみました。

「2008年5月ですが、栃木県内の飲食業者が不動産業者を相手に損害賠償を求める訴訟を裁判所に起こしています。これは、建物の賃貸借契約の際に『幽霊が出る』という噂があることを説明しなかったという訴えでしたね」

まさに「いわく付きの物件」が原因でトラブルが発生した事例ですね。このケースの場合、無人なのに足音がしたり、人感センサーが反応したりしたこともあったそう。しかし、幽霊が争点になるって、法的にはどういう扱いになるのでしょう? 「不動産売買では物件に『瑕疵』(かし)、つまり欠点があったら、民法第570条に基づいて契約の解除や損害の賠償請求ができます。たとえば、物件が殺人や自殺の現場になっていたり、隣が暴力団の事務所だったりした場合は『心理的瑕疵』になるんですよ。一般の人がそれを分かっていたら買わない、借りないと考えられますからね。不動産業者は入居者にこれらの事実を伝える告知義務がありますし、その瑕疵で被った損害は賠償しなければなりません。今回の訴えは、これと同様の解釈に基づいてなされたものです」(同)

ということは、幽霊の存在も、法律用語でいう「心理的瑕疵」にできる?

「それはどうでしょうか。幽霊やお化けは科学的に証明できない事象です。つまり、心理的瑕疵になる『嫌悪すべき背景』があったかどうかは証明できません。金縛りや不眠などの肉体的・心理的ダメージがあったとしても、それは原因不明としか言いようがないでしょう。結果として、物件、建物の心理的欠陥を原因とした責任追及は裁判でも認められないのでは?」(同)

やはり、法律と幽霊のマッチングは無理がありますか。幽霊、あるいは「幽霊が出る」という噂は、借り手には家賃を交渉する際の駆け引き要素にはなるのでしょうが、貸し手からしたらカンベンしてもらいたい存在でしょうけど。みなさんはどう思います?
ボクが極限体験をした北アルプスも遭難者が異常に多いせいか、確かに死の重みを感じる空間でした。この一件以来、足を踏み入れてはいませんが…

山登り×幽霊の関係でトラブルを回避できる!?



ボクが山岳会に籍を置いていた頃のことです。

北アルプスをふらり歩いていた夏休み。日程を順調に消化し、いよいよ山麓のキャンプ地まで帰ろう、という帰路です。当時から面倒くさがりだったボクは、近道しようと地図にない道をずんずん進み、ものの見事にルートをロスト! 気がついたら、獣道を抜けてその先には断崖絶壁が。行くも地獄、戻るも地獄。これってちょっとヤバくない!?

途方に暮れていた、その時です。

おっ、あちらで人が手を振っている! 正しい道に戻れたのか? と思って近づくとそこにいたのは、衣服もボロボロで、明らかに遭難者風の男性でした。「もうずっとここにいるんだ。私は動けないから、下山したら捜索隊を呼んでくれないか」と言い、ボクに正規ルートへ戻る獣道を教えてくれたんです。

彼のアドバイスどおりに谷をつたっていくと、日没前には、何とかキャンプ地にたどり着くことができました。あぁ、助かった~! さっそく、遭難者の存在を警察に通報し、ほうほうの体で帰京したのです。

後で気になって問い合わせてみたところ、ボクが遭難者の男性と会った地点には、破れたテントとリュックサックが残されていたのみ。最近まで人間がいた痕跡はなかった、とのこと。

ゾゾ~。あの人は、遭難寸前でテンパっていたボクが見た幻覚なのか? それとも。山の怪談小説集『赤いヤッケの男』の著者・安曇潤平さんに聞いてみましょう。山には不思議な話が多いといいますが、ボクのような経験談ってあるのでしょうか?
遭難直前、山頂で撮った記念写真。この後、恐るべき事態がボクを襲ったのでした…
「ええ。私にもあります。車で山に向かっていたら、突然、男が前に立ちふさがったんですよ。あわてて車を止めて外に出てみると、そこには誰の姿もない。気味が悪くなって、登山を中止して引き返したら、後になって、その先で土砂崩れが発生していたことが分かりました。山で遭難した方は、最後まで生に対する執念を持っているのでしょう。だから、危うい状況に陥った登山者を見たら、助けてやりたい、という気持ちを持つのかもしれませんね」

確かに、ヨーロッパのアルプスと比べても、日本アルプスは高山帯標高のわりには遭難者が多いといわれています。山岳遭難による死者・行方不明者は年に259人(平成19年分:警察庁まとめ)に及んでいるぐらいですからね。

「山の様相は夏と冬で一変します。気楽に歩ける夏の尾根道に何気なく遭難碑が建っていたりしますが、こういったところは、往々にして冬になると遭難多発地点に様変わりするんです」(同)

安曇さんが綴った山の怪談の中には、遭難者を弔うためのケルン(石積みの塔)を崩してしまった登山者が、霊を下山後の宿に連れてきてしまう――なんて話もありました。遭難された方は、いまも山で登山者を見守ってくれているのかもしれませんね。 「いわく付きの物件」「山の怪談」をテーマにお送りした今回、
いかがだったでしょうか?  まあ、このテーマが「身近」かどうか、
さらに「トラブル」なのかも、微妙に意見が分かれますよね。

みなさんも何か怪奇体験談がありましたら、ぜひご投稿ください!

さて、実は「身近なトラブル対処法」はこれが最終回となります。
全12回にわたってご愛読いただき、誠にありがとうございました。

「原稿を落とす」という最大のトラブルは回避できて、ひと安心です。

それはさておき、この「ライフ&マネー」カテゴリーにおいて、
近々、まったく別のテーマで再始動したいと思っています。
ヒントはボクのアイコンにあったりして。

では、また「R25.jp」でお会いしましょう!

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