カラダ資本論

第7回 印象が良くなる「声」とは?

2009.09.04 FRI

カラダ資本論

-GTPが200を超えました。最近痛風の症状が出て血液検査をした際に教えてもらった肝機能のデータで、医者に過度の飲みすぎを注意されました。その後1週間程度は、焼酎割り1杯くらいに抑えて、再度検査したところ180くらいまで下降しました。今後も過度の飲酒は控えていきます。

「ラッキーパンチ」さん(神奈川県/49歳/男性)

ラッキーパンチさんは他の症状の検査を受けたお陰で肝機能の衰えが発覚しましたが、沈黙の臓器といわれる肝臓は、自ら「調子悪いよ」というシグナルを出してくれませんからね。「最近飲み過ぎかも」と思う人は、少し節制した方がいいかもしれません(肝臓をいたわる生活習慣に関しては、こちらの記事をお読みください)。

そんなわけで、カラダにまつわるトピックをお届けしているこの企画。今回は「声」にフォーカスしてみることにしました。皆さんは、自分の声に自信はありますか?
閉じている状態の声帯(上)と開いている状態の声帯(下)。左右のヒダが開閉することで声が出る。心臓は1分間に約80回拍動しているが、声帯はその75倍もの速さ(男性の場合)で動く超高速器官。

人の印象を左右する「いい声」とは?



ビジネスでも恋愛でも、「話す」という行為はコミュニケーションの基本。言葉でコミュニケーションをとる人間にとって、声帯はとても大切な器官です。

一般的にいい声といわれる人はいますが、そもそもいい声とはどんな声なのでしょうか? 声のエキスパートである、国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授に聞いてきました。

「声の質を左右するのは、ノイズ(雑音)とハーモニクス(響き)です。いわゆるいい声と呼ばれるのは、ノイズが少なく、よく響く声のこと。さらに、話し方や間のおき方、声の大きさという要素が加わり、声の印象は変わってきます」

人ののどの奥には、左右一対の声帯という器官があり、左右の声帯が震えてぶつかり合うことで声が出ます。楽器でいえば、弦のような働きをしているのが声帯です。ところが、声帯にポリープがあったり炎症があったりするとノイズが起こってしまいます。ピアノの弦の途中にリンゴが置いてあったら、いくら鍵盤を叩いてもきれいな音は出ませんよね。それと同じことが声帯にも起こるのだそうです。

また、ハーモニクスに関しても声帯がしなやかであることが大切で、喉に力を入れたような発声だと声帯がこわばり、響かなくなってしまうのだとか。

とはいえ、人が声を発するとき、日常会話では男性の声帯は1秒間に100回も振動。男性よりも高音の女性の場合は250回、ソプラノ歌手になると1000回にもなり、声を出すだけでも声帯にとってはかなりの負担です。声帯がこすれて充血したり、摩擦による熱で炎症を起こしてしまうのだそうです。

「だから、声帯の酷使、乾燥した環境はNG(声帯の潤滑剤が不足してしまうから)」とのことですが、男性と女性では、倍以上も振動スピードが違うものなんですね。私的にはそちらも驚きでした。

「実は、変声期前の男性は、女性よりも高音なんですよ。ボーイソプラノはあっても、ガールソプラノがないのはそのせいです。それが変声期を境に、男性の声は一気に低くなる。これは私見ですが、声のトーンが低くなることで性的アピールが増すので、男性らしさをアピールする必要が生じてくる思春期ごろに変声期を迎えるのかもしれません」

確かに、男子だけに声変わりが明瞭なのは不思議ですね。

ちなみに、シジュウカラという鳥は、異性を惹きつけるのにさえずりで競い合うそうですが、さえずりがうまいオスのパートナーとなったメスは、他のメスたちよりもすごく立派な巣を作り、献身的に働くのだそうです。

もしかして、人間の場合も、いい声の人の方がステキなパートナーに恵まれたりして!?
ポリープができた声帯。20代、30代の男性の場合、カラオケの歌いすぎなどでできることもある。ちなみに、「カラオケポリープ」という病名を作ったのは、今回取材した福田先生。

私も「いい声」になれますか?



人を惹きつけるようないい声には憧れてしまいますが、自分の声に自信がない人でも、いい声にすることはできるでしょうか? 国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授に聞いてきました。

「いわゆるいい声とは、ノイズが少なく、よく響く声のことですから、声帯に負担をかけないようにすることが大切です。声帯への負担には、声の出し方、環境などが影響しています」

声の出し方として大事なのは、のどに力を入れないこと。のどを締め付けるように発声すると、どうしても声帯の負担になってしまいます。実際にやってみると分かりますが、のどに力を入れないように話す軟起声(ソフト・アタック)と呼ばれる発声法だと、声帯への負担はかなり軽減するようです。

また、声帯には乾燥した環境が大敵。声を発するとき、男性の場合は1秒間に100回、女性の場合は250回も声帯が振動してぶつかり合うのですから、常にうるおった状態でないと、摩擦で熱を持って炎症を起こしてしまいます。ちょっと声がかすれてきたなと思ったら、水を飲む、甘すぎない飴をなめる、レモンをなめて唾液をたくさん分泌させるなどでのどを湿らせるといいそうです。もちろん、のどを乾燥させてしまうタバコはNG。
国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授。歌手など声を使った仕事をしている人の音声障害や、中年以降の男性に多く見られる咽喉頭疾患(下咽頭ガンや喉頭ガン)の診断・治療などを行っているのどと声のエキスパート。
よく響く声にするためには、声帯だけでなく全身をしなやかにすることが大切で、ストレッチ運動で体をほぐすことが効果的なのだとか。そういえば、舞台に出る役者さんが、始まる前に念入りに体をほぐしていたりしますね。あれは演技をするためだと思っていましたが、声を出しやすくするためでもあるのでしょうか。

「声帯が震えただけでは、ただの『ブー』という音しか出ません。肺にたまっていた空気が声帯を震えさせ、咽頭喉頭部、鼻腔、鼻道などの共鳴腔で増幅されて多彩な声となるので、全身のしなやかさが声にも影響します。体が緊張状態にあると、腹腔はもちろん声帯や鼻腔などもこわばり、声のしなやかさも失われてしまいます。また、声の個性は体格の個性でもあります。親子の声が似ているのも、親子は骨格が似ているからです」

そうやって声帯のケアをしたら、間のおき方や強弱のつけ方に気をつけること。福田先生によれば「話し方」も「声の質」に大きく影響するのだそうです。のどに力を入れない軟起声が声帯への負担が小さいといっても、軟起声という発声法ではソフトな話し方しかできません。話の内容によっては、語気を強めたり、大きな声を出す(いつもそんな発声法では声帯が傷ついてしまいますが、ほどほどなら大丈夫)。ときには無言になって相手の関心を引く。そういったテクニックを組み合わせることで声の印象は違ってくるといいます。

声帯を過保護にするあまり、空気が抜けたようなおかしな発声になることもあるので、あくまでも自然な発声を心がけてほしいそうです。

ちなみに、いつまでも声がかすれているようなら要注意。後に喉頭がんやポリープになってしまう可能性もあるし、食道や気管、心臓にこわい病気が隠れているために声帯が動かなくなっていることもあるそうなので、早めの受診を。「ちょっと風邪気味かな」と見過ごされやすいそうですが、声がれは危険な病気のシグナルでもあるのです。

自分の思いを相手に伝える声なのですから、大切にして、効果的に使いたいですね。 話の後半で、福田先生が「声がれは病気の危険信号」というお話をしていましたが、実は、声がれから声帯以外の病気が見つかることもあるのだそうです。

声帯の神経は、脳から直接声帯につながっているのではなく、脳からの神経が枝わかれして心臓、食道、甲状腺を通り、くるっと回って喉頭部まで戻ってくるので「反回神経」と呼ばれています。そういう構造なので、肺や甲状腺の病気によって声帯の神経が分断されることがあり、声がれが起こることがあるのだとか。

声は、思いを相手に伝えるだけでなく、異性を惹きつけたり、病気を教えてくれたり、いろいろな役割を果たしているのですね。

そういえば、私を含め、女性の中には「男性の声が気になる」という人が少なくないようです。福田先生が「声は男性らしさをアピールするもの」と話していた通り、女性にとっての男性の声は、男性が女性を見るときの「胸」や「お尻」に相当するものなのかもしれません。

女性の皆さんは、どんな声の男性が好きですか? 今回の感想とともにメッセージを送ってください。「こんな女性の声に惹かれる」という男性のメッセージも歓迎です!

今後も、カラダのさまざまな部分について、調べていきたいと思います。次回以降は「泌尿器」「脳」「耳」などを取り上げる予定。この他にも気になっているカラダの部位、症状、カラダについて知りたいことなどがある人は、メッセージをお送りください。

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