球審は「オレ」!?

プロ野球「審判学校」とは?

2013.08.06 TUE


審判学校の応募資格は「高卒以上」とだけあるが、井野さんによると、年齢は25歳未満、身長175cm以上で視力も1.0以上の人が理想的だという 写真提供/PIXTA
「日本野球機構(NPB)がプロ野球の“審判学校”を設立!」。野球ファンのあいだでこんなニュースがひそかに話題になっている。プロ野球の主役はもちろん選手たちだが、絶対に試合に欠かせないのがストライクやボール、アウトやセーフといった判定を行う審判員の存在。その審判員になるための「学校」ができるというのだ。

「これまでプロ野球の審判員になるには3つの方法がありました。まず優先して採用していたのが引退した元プロ野球選手で、2つめがアマチュア野球の審判員をスカウトすること、3つめが一般公募です。ただ、それらは確立された方法ではなく、現在1軍と2軍合わせて58名いる審判員に欠員が出た場合のみの採用でした。でも、プロ野球の審判というのは経験が非常に大切で、本来育成には時間がかかる。そこで審判学校をつくり、きちんと新しい人材を発掘していこう、となったのです」

こう話すのはNPBの井野修審判長。この審判学校は今年12月18日から5泊6日のプログラムで行われ、講師には井野さんをはじめ、メジャーリーグ公認審判学校長のジャスティン・クレム氏、NPBの審判技術委員や現役審判員などがずらり。授業では公認野球規則を勉強するほか、アメリカの審判学校同様に2人制の審判フォーメーションで正しい判定を行うための実技を学ぶ。成績優秀者は12球団春季キャンプに参加し、NPBの「研修審判員」として採用されることになるという。

ただし、プロ野球の審判員というのは「学校」を卒業しただけで簡単になれるものではない。なにしろ、仮に採用されたとしても、まず炎天下の2軍のゲームで年間100試合を5年間、つまり最低500試合程度の経験を積むことが必要。また1軍に上がったとしても、最初は1塁・2塁・3塁にそれぞれつく「塁審」としてスタートし、ストライク・ボールを判定する「球審」になるにはそこからさらに7年ほどかかるという。しかも、審判員は多くの選手と同様に1年ごとの契約で、退職金も支給されない。1軍で球審をつとめる前に3人に1人は脱落してしまうという、とてもきびしい世界でもあるのだ。

「だからこそ、本当に野球が好きで、その審判員になりたいという人でなければ耐えられないと思います。審判員は正しい判定をして当たり前。万が一、誤審をすればメディアに批判され、正しい判定をしても、ファンや選手、監督からヤジられたりもします。しかし、審判員としてひとつの試合をやり遂げると、なんともいえない充実感がある。若くて体力がある人、学生の方も、就職活動の一環としてぜひ審判学校に参加していただきたいですね」(井野審判長)

日本のプロ野球が初めて試みる審判学校。初年度となる今年の応募は7月31日で締め切られたが、すでに定員50~60名に対して100名以上の応募があったという。プロ野球の未来は明るい…のかもしれない。
(村木哲郎)

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