ラグビー×医者、野球×研究者

「文武両道アスリート」が大活躍

2013.09.19 THU


「福岡は真面目でポジティブ。“やればできるんじゃないか”と挑戦している印象です。そのキャラクターも魅力」(大友氏) 画像提供/北村大樹/アフロスポーツ
去る6月、ラグビー日本代表が欧州王者のウェールズ代表に勝利した。その試合で称賛されたのが弱冠20歳のウイング・福岡堅樹のスピードに満ちたプレー。この福岡、現在は筑波大の2年生だが、その経歴が興味深い。

「彼は中学時代から評判の選手で、福岡県有数の進学校である福岡高校時代は花園にも出場。その後、夢である医師を目指して医学部を受験し、一浪後、今は競技を優先ということで筑波大に入学しました」(スポーツライター・大友信彦氏)

彼は今後、日本代表の中心となっていくほどの逸材だが、医師の道もあきらめたわけではないという。日本のトップアスリートとしては、珍しいスタンスである。だが、こうした文武両道のアスリートが、最近、日本の比較的メジャーなスポーツでも目立ち始めている。たとえば今季、中日にドラフト1位で入団した福谷浩司は、愛知の進学校、横須賀高校からAO入試で慶應大理工学部に進み、才能を開花させた投手。「引退後は大学で研究の道に戻ることも考えている」というヴィジョンを持っている。男子マラソンの川内優輝も一種の文武両道だろう。多くのトップ選手が企業チームでの活動を選ぶなか、学習院大から埼玉県庁へ就職。普通に仕事をする傍ら、自主練習を積み市民ランナーとして現在のポジションにたどり着いた。

彼らは各競技の王道的なキャリアアップの道に縛られず、競争の激しいスポーツながら、自らのスタイルでトップを目指している点が新しい。欧米では有名選手が引退後に弁護士や医師などになることも珍しくないが、日本ではあまり例がなかった。そこには「ひとつの道に邁進する」ことが美学とされる日本の風土も関係しているだろう。その点、彼らの存在は、日本のスポーツ文化の変化の兆しにも思える。「トップを目指す道、選手の将来はいろいろあっていい」ことを証明するためにも、今後に注目したい。
(長谷川一秀)


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